BLACK作

□本の日に焦げた恋
1ページ/4ページ

4月某日。
夏希の携帯が鳴る。

“ カズマくん
xxx-xxx-xxxx ”

夏希「はい、夏希でーす。」
佳主馬『あったり前じゃん、携帯に掛けてるんだから。』
夏希「ちょっと?その態度は宜しくないよ?」
佳主馬『それよりさ、お兄さんの誕生日っていつ?』
夏希「お兄さん?誰お兄さん?了平君?」
佳主馬『はぁ?そんな訳無いじゃん。健二さんだよ、健二さん。』
夏希「…切るよ?」
佳主馬『拗ねても可愛く無いよ?』
夏希「…知ってる。」

別に仲が悪い訳では無いが、親戚なんてこんなものだ。
強いて言うならあの夏の後、秋口辺りから佳主馬からの電話とメールが増えた。
しかも内容は健二に関する事ばかりで、もれなく態度が悪い。
侘助に相談したら(侘助と頻繁に連絡を取っている事は秘密である)、「それはアレだな、恋敵だと思われてるな。」だそうだ。
恋敵にずけずけとリサーチ入れてくんなよ(笑)と思いながらも、腐った世界を知らない夏希は、佳主馬の叶わぬ恋を応援する様に対応していた。

夏希「あー…ごめん、知らない。」
佳主馬『は?』
夏希「誕生日知らない。判んない。」
佳主馬『信っじらんない…何なの?それでも彼女?!』
夏希「か…!?彼…女じゃないモン…。」
佳主馬『チッ。』
夏希(舌打ちしやがった…)

夏希と健二の仲は、いわゆる友達以上恋人未満まではすんなりと進展したものの、周りがあれこれ言い過ぎて逆に交際にまで到っていない。

佳主馬『聞いてよ。』
夏希「何?」
佳主馬『誕生日、聞いてよ。どうせ毎日会ってるんでしょ?』
夏希「会ってないよ。つーか私、卒業したんだけど?」
佳主馬『チッ。』
夏希「カズマくんこそ、OZん中でよく会ってるんでしょ?直接聞けばいいじゃん
。」
佳主馬『…。』

それが出来たらわざわざ夏希姉ぇに電話なんかしてない、と言いたげな間に、どんだけ乙女だよと内心突っ込む。
因みに佳主馬は既に一度非合法なアタックも試みたが、趣味なのか警戒なのか馬鹿みたいに尋常じゃない健二のプロテクトに心が折れた。
更に言えば、一度だけ理一にワンギリしたがすぐに思い直して止めた。
良心からではなく後が怖いからだ。

佳主馬『じゃあいいや。』

と残して電話が切れる。
夏希も慣れたもので何事も無かったかの様に携帯をポケットにしまう。

夏希「誕生日…か。健二君は私の誕生日とか知ってるのかな…。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ