BLACK作

□3月14日の潜水士。
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最近、同じ夢をよく見る。
何処かから墜ちていたかと思うと水面に叩き付けられる。
みるみるうちに、水平線が遠ざかっていく。
転落夢ってヤツだ。
これが今の俺の心の中なのかな…。

ナルト「…かはっ!けほっ!ごほっ!はぁ…はぁ…。」

呼吸を再開して飛び起きると、全身に汗をかいていた。
手足は微妙に痺れ、肌はチリチリと痒い。

ナルト「またか…。」

目覚まし時計の短針は3と4の間だ。
落ち着くのを待って、ナルトは寝間着のジャージのまま財布をポケットに突っ込む。
こんな日はもうよくは眠れないから、取り敢えずコンビニにでも行って時間を潰す。

ナルト「寒っみ。」

北極の気候がどうとか難しい事は解らないが、この寒さは春のソレではない。
空は見事に澄んでいる。
だが青すぎた空には明日すら描けない。

ナルト「頭痛ってぇー…。」

早足で歩けばそこは通学路。
知った顔も知らない顔も無意識に思い出される。
街も学校も、息もできないくらい澱んだ人の群れ。

ナルト「俺ってば、いつからここに潜り込んだんだ?」

なんて呟きながら独り苦笑い。
誰かが言ってた。
悲しみなんて吐きだして前だけ見てればいいんだっけ?
それじゃ、とてもまともでいられない。

「いらっしゃいませー。」

店員しかいないコンビニは、店内放送も切られて外よりも静かに感じる。

ナルト「肉まん4つ。」

どうせ立読みなんかしても何も頭に入ってこない。
受け取った肉まんで手を暖めながらコンビニを出る。
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