BLACK作

□神無月夜想曲
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食事を済ませたナルトは、もう少し呑むと言うエビスを残し、部屋に戻った。
掃除もしたし洗い物も無い。
サスケもいないし、このまま寝てしまおうとベッドに倒れ込む。
慣れない相手に想像以上に疲れていたのか、ナルト自身いつ落ちたのか判らない
くらいスッと寝てしまった。
どのくらい経っただろうか?
ふと全身に重みを感じ、目が覚める。
瞼は開くが脳が起きていないらしく、体は動かないし状況も理解できない。
ただ、重い。
自分がうつ伏せなのだけは理解できたが、背中のソレは全身を抑えつけたまま動
かない。
敵意は無い。
悪意…も多分無い。
殺気があればすぐに気付くし、霊的なモノなら尚更早く気付く自信がある。
どちらかと言うと…。

ナルト「…あったけー…。」

朝の明るさでは無い。
布団は自分が抱いている。
じゃあ背中のコレは?
瞬間、首筋にやや冷たい感触がして、一気に脳が覚醒した。

ナルト「ひゃん!」

飛び起き…れなかったナルトは、脚を畳んで亀の様な格好になっていた。
反動で跳ばされた背中のソレは、ベッドから落ちてナルトの横に転がって来た。

サスケ「ただいま。」
ナルト「…サスケ?今何時?」
サスケ「丁度日が変わるところだ。」
ナルト「夜中?どうしてこんなに早く?」
サスケ「急いで帰って来た。遅くなってすまない。」

そう言って軽く顎を上げるサスケに、無意識にナルトも目を瞑って応える。

サスケ「誕生日おめでとう。」
ナルト「ん…んー…ぅん。ありがと。…あ、おかえり。」
サスケ「ただいま。」

笑顔のナルトに、サスケも穏やかな笑みで応える。
よく見ると部屋の隅には大量の荷物が置かれていた。

ナルト「アレってば?」
サスケ「あぁ、任務のな。報告は明日のが良いかと思って、一度持って帰って来
た。そうだ、土産がある。」

サスケは大社の紙袋の中から、小さな袋を一つ出す。

サスケ「プレゼント…って訳じゃないが、お前が短冊に書いてた奴だ。」
ナルト「家内安全…無病息災…商売繁盛…。」
サスケ「プレゼントは、明日ちゃんとどこかに探しに行こう。」
ナルト「嬉しい。…でも、コレってば、サスケに持っててもらいたくて書いたん
だけど。」
サスケ「そうか…二つずつ買ってくれば良かったな。」
ナルト「じゃあ神棚に置いておくってばよ。それなら二人共効果有りそうだし。

サスケ「そうだな。…因みに…こんな物も有る。」
ナルト「子孫繁栄?………ばか。」


翌日昼前、裸で寝ている二人がエビスによって発見される。
風邪ひきますよ、と言う彼に、ムッツリどころかひょっとして鈍感なのでは?と
思う二人であった。
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