BLACK作

□風の鳥のさえずり
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サスケは機嫌が悪かった。
何故なら早退を却下されたからだ。

その日は朝から風が強く、雷鳴も聞こえていたが、雨は降っていなかった。
二限の体育が終わり、廊下を教室に向かって歩いていたサスケの元に、ヒナタが
駆け寄って来た。

ヒナタ「サスケ君!ナルト君が怪我したって本当?!」
サスケ「?」
ヒナタ「あ…れ?ナルト君と体育一緒じゃなかったっけ?」
サスケ「選択が違う。俺はバスケ、アイツは野球だ。」
ヒナタ「そ、そっか…ごめんなさい。サクラちゃんに聞けば判るかな…?」
サスケ「どうせ保健室だろ。ん…おい!キバ!」

向かいから歩いてくるキバを見付け、声を掛ける。
その姿は屋外で野球をしていたとは思えないほど小綺麗だった。

キバ「よーサスケ。何か用か?」
サスケ「ナルトは保健室か?」
キバ「あぁ、その事か。保健室にはいないぜ。」
サスケ「じゃあ教室か。大した事無かったんだな。」
ヒナタ「教室には…いなかったよ?」
サスケ「じゃあトイレだろ。」
キバ「いや、病院行った。」

キバの異常に軽い言葉に、二人は目を丸くしたまま凍結した。

ヒナタ「えっ?ええっ?!」
サスケ「何があったんだ!?」
キバ「何って、ただ金属バットが直撃しただけ…ってオイ!」

キバが言い終わる前に、ヒナタは気絶し、サスケは走り去って行った。
職員室に駆け込んだサスケが、早退を却下されて出てくるまで1.7秒。
サスケの気配を察知したカカシが、サスケの言葉に食い気味に下した英断であっ
た。
五限が終わるまで苛々しっぱなしで、クラスメイトどころか教師すら話し掛けら
れないオーラを放っているサスケに、シカマルが近付いて行く。
自身の放つ雰囲気を理解しているサスケは、あの面倒くさがりのシカマルがそれ
でも近付いて来るのを見て、それほどの用件かと一応聞く姿勢を作る。

サスケ「何だ?」
シカマル「行くんだろ?見舞い。病院ココな。」

病院に最寄りの停留所名と簡単だが解り易い地図が書かれたメモを、机に置く。
立ち去ろうと半身を返したところで振り返り、サスケを指差しながら片目を瞑る


シカマル「サクラが先に行ってる。俺も後から行くからな。」
サスケ「どういう意味だ?」
シカマル「他意は無ぇよ。ま、大部屋だろうけどな。」

含みを持たせた物言いに引っ掛かる物があったが、数少ない理解者の一人として
下手に文句は言えなかった。
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