BLACK作

□似ても妬いても食えない関係
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三成「あいつ…知ってたな…。」
曹丕「これは良い琵琶だな…杏もだ。どちらも良い酒に成りそうだ。」

退屈と面倒を秤に掛け、どちらも大差は無いと諦めた三成は、小刀を曹丕に渡し
ながらまた溜め息を漏らす。

三成「別に構わんがな…。俺もそう暇じゃない、留守の間にあまり城内をウロウ
ロするなよ。」

曹丕は受け取った小刀で甘夏の皮を剥きながら、三成を見ずに言い放った。

曹丕「案ずるな。清正公からの茶会の誘いには、私が断りの書状をしたためてお
いた。」
三成「…なに?」
曹丕「ねねとやらに訊いたら、なめこ茸と甘い物に目がないと言うではないか。
大量に送り付けてやったら今回は見逃すと言っていたぞ。」
三成「き…貴様…。」
曹丕「よもや私より茶会を優先させるつもりであった訳ではあるまい?」
三成「そうでは無い!貴様、いつの間におねね様に…」

言い掛けたところで口に甘夏をねじ込まれ、そのまま指が眉間を突く。

曹丕「あのような筋肉質な腕など貴様には似合わんと思うのだが…?」
三成「…何を馬鹿な事を。…果汁が目に染みるのだが?」
曹丕「何よりあの主人公声が気に入らん。それに戦場であの露出度は何だ、馬鹿
としか言いようが無い。」
三成「貴様…まさか妬い…」
曹丕「私が…何だと?」
三成「…焼いた味噌に葱を混ぜた物を食べた事はあるか?これが存外白米に良く
合う。」
曹丕「ほう…。食べた事は無いが、確かに食欲をそそりそうな物だな。」
三成「では左近に用意させよう。…これも清正の好物だがな。」

そう言って目を細めた三成に釣られ、曹丕もつい口角を上げた。
眉間から頬を伝う甘夏の雫は、曹丕の唇に拐われていった。

三成の背に、いつの間にかパンダが付いている事に本人が気付くのは、この数時
間後、入浴の時である。
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