BLACK作

□黄金色ゆらゆら
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暖簾をくぐると感じの良い初老の婦人が頭を下げる。

女将「お疲れ様です。うちはサスケ様ですね?奥様は先に御部屋に向かわれました。」
サスケ「あぁ……アン?」
女将「しかし本当に綺麗な奥様でいらっしゃいますね。あんなに長くて綺麗な黄金色の髪、こんな田舎では初めて目にしました。」
サスケ「あ、あぁ…そうですか。それで部屋は?」
女将「只今御案内致します。御客様には専用露天風呂の付いた離れの部屋を御用意させて頂きました。」

外見には判らなかったが、中に入ると小さな町には不釣り合いな程立派な旅館であった。
枯山水を望む渡り廊下をしばらく歩くと、星霜の間と書かれた部屋に着いた。

女将「こちらになります。」
サスケ「あぁ。」
女将「御夕食は後程、御持ち致しますので。」

サスケは、去り行く女将の背中を見送りながら、開口一番ナルトに何と文句を言うか考えていた。
女将が見えなくなったのを確認し、深呼吸をしてから戸に手を掛ける。
多分ナルトは荷物を散らかし、寝転んでくつろいでいるだろう。
――ガラッ――
まず、ふざけるな、次に、どういうつもりだ、そう言うつもりだった。
怒鳴り付けるつもりだった。
しかし戸を開けた先にいたのは、夕陽の中、浴衣姿で長い髪を一つに纏めているナルトだった。
サスケはドキッとした。
その音がナルトに聞こえてしまうのではないかと、思わず手で口を押さえる。
頭では何か言わなくてはと思っているのだが、何も思い付かない。
耳が、頭が、身体が熱い。
震えそうな唇を必死で制御し、なんとか声を張り上げた。

サスケ「そ、それは風呂上がりに着るもんだ!」
ナルト「…へ?」
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