小噺

□あなたに首ったけ@
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そして、日曜の朝――

「じゃあ行ってくる。何かあったら携帯に連絡を入れてくれ」
「あ、はーい…お気を付けて…」
颯爽と玄関から出ていった桐条を見送った後、伊織、岳羽、天月の三人は顔を合わせてひそひそと囁き合う
「おい、見たか?桐条先輩のカッコ!俺あの人が制服意外でスカート履いてるの初めて見たぞ!?」
「いつもの猟銃持って鹿狩りに行くような服じゃなかったな」
「なんていうか…買い出しの割に気合い入ってるって感じ?っつか、超キレイだったし…」
思わず頬を染める三人(岳羽含む)
「おい、お前ら。あんま人の付き合いにあれこれ口出しすんなよ」
そんな中、キッチンから荒垣が手にコロマルの餌入れを持ってやって来た
「あ、荒垣先輩おはよーございます」
「今日は珍しく早いんですね。いつもニートみたいな起床時間のくせに」
「ひぃっ!?おま、何いきなり無礼かましてんだよ!!」
一人青ざめる伊織を余所に、岳羽と天月が会話を続ける
「でもやっぱ気になるよねー、何せあの桐条先輩と真田先輩だし」
「俺、ここに来た頃あの二人フツーに付き合ってるのかと思ってた。お互い名前で呼び合ってるし、ゆかりが来るまでは二人きりの寮生活だったらしいし。そういや白河通りのラブホでも二人一緒だったよね」

ガシャーン!

白河通り、と聞いて思い切り顔をしかめた岳羽だったが、直後荒垣が盛大に皿をひっくり返した音に全員が飛び上がった
「あ、荒垣サン…?」
「……悪ぃ、何でもない」
目の前に散らばったドッグフードを、キューンと鼻を鳴らして見つめるコロマルの頭を撫でながら新しい餌を皿に盛る荒垣
しかし持っている袋の表面には『園芸用肥料』と大きく印刷されていた
「荒垣先輩、コロマル殺す気ですか」
「……はっ!?何だこりゃ…」
「いや、こっちが聞きたいですよ」
皿を洗いにいそいそとキッチンへ引き返す荒垣を見送りながら、再び顔を合わせる三人
「なんつーか…荒垣サン変じゃね?」
「何もかにも、十中八九妬いてるだろアレは」
「え……どっちに?」
「それを聞く時点でそーとー歪んでるよゆかり。まぁ桐条先輩にだろうけど」
天月の言葉に何の疑いもなくあー…やっぱり…と納得する二人(ナチュラルに荒垣と真田の仲はバレている)

「さて、荒垣先輩の様子も微妙にキモいことだし…ここはやっぱり!」
ぱん、と手を叩いてまた無礼なことを言いながら立ち上がるリーダー天月

何やら嫌な予感が二人の胸中を駆けていく


「尾行しよう!」


爽やかな笑顔と共に、予感は的中した

→To be continued…

*誤解されそうですが、主人公は荒垣先輩のことが大好きです
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