小噺・弐

□大人明彦物語@
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「あー悪ぃ、手が滑ったー」

物凄い棒読みな台詞と共に何処からともなく現れた荒垣が、手に持っている焼けた中華鍋で天月の頭を殴りつけた
「ぉあづぁぁあっ!!!!あっっつい!ハンパなく熱い!!ハゲ死ぬ!順平みたいになって死ぬ!!」
「こんな時でも人をけなすのは忘れねぇのな!俺ハゲじゃねぇし!…ってか荒垣サン!マジ助かったっす〜!」
ゴロンゴロンとネズミ花火のように床をのたうち回る天月を放り、伊織が救世主に向ける眼差しで荒垣を見つめた
「また下らねぇ事しようとしてたのかてめぇは…」
右手に持った中華お玉でゴンゴンと天月の頭を小突きつつ、テーブルの上に置かれたペットボトルをさりげなく懐に仕舞う荒垣
「く、下らなくなんかないですよぅ…むしろこれは俺という名の世界を救う、大事な萌イベントで…(っていうか今ペットボトルパクったよなこの人)」
「お前どんだけあつかましい存在なんだよ!?世界とまでいくか!?(…パクったよな…ペットボトル)」
「世界だか堺だか知らねぇが、これ以上あのアホを面倒事に巻き込むんじゃねぇよ!とばっちり食うのは決まって俺なんだからな!」
左手に中華鍋、右手に中華お玉を持ったエプロン姿でカッ!と威嚇する荒垣(どうやら昼ごはんを作っていた模様)
一見間抜けに見える恰好でも、それを補って余りある迫力の眼力によって伊織は(全く関係ないのに)背中に冷や汗が流れ落ちるのを感じた
「とばっちり食うっていうか、荒垣先輩が勝手にリアクション過多でぶっ倒れてるだけでしょう」
そんな中でも怖いもの知らずなリーダー天月は、荒垣の神経を逆撫でするような発言を(むしろ進んで)していた
「あぁ!?リアクションでけぇのはてめぇも一緒だろうが!」
「俺は鼻血噴いて失神した事なんてありませ〜ん」
「………っ!!!!(←消し去りたい過去)」
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