小噺

□そんな二人の登下校
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・真次郎、明彦、初等部一年の春

→孤児院から学校までの道のりを、二人並んで歩いている
シ「おいアキ。ふらふらしてないで、ちゃんと学校着くまで俺の手を離すなよ?また変なおっさんに拐われんぞ」
ア「う、うん…」
→以前余程怖い目に遇ったのか、明彦は真次郎の手をきゅっと握り締めている
シ「!(アキの手、やわらか…)」
ア「シンジ?どうしたの?」
→きょとん、とした様子で首をかしげる明彦
シ「な、何でもねぇよ!」
→真次郎の顔は耳まで真っ赤になっている


・荒垣、真田、中等部一年の夏

→雨が降っている平日の朝、満員のモノレールの中で窮屈そうにドアに寄り掛かっている二人がいる
荒「くそっ、テメェが遅れたせいでめちゃくちゃ混んでる時間になっちまったじゃねぇか!アホ!」
真「悪いシンジ、つい星占いの結果が気になって……わっ!」
→モノレールが揺れた拍子に、他の乗客に押し潰されそうになる真田
荒「……っぶね!おいアキ、こっち来い」
→荒垣はドアに向かって両手を突き出し、その間に真田を招き入れた
真「シンジ、ありがとう」
荒「おぅ……って近っ!」
→傘などの荷物を背中側に回している所為か、予想以上に真田の顔が接近している
真「シンジ?…どうした凄い汗だぞ」
荒「あ…暑ぃからだよっ!この車両、冷房弱くねぇか?(まつ毛長いまつ毛長い…!)」
真「そうか?俺には寒いくらいだけどな……あっ」
→ガタン、と再び揺れた拍子に、真田の顔が荒垣の目の前に飛び込んで来る
(ガツッ!)
荒「………!!!!」
真「い゛…っ!歯、打った…」
→一瞬の出来事に、涙目で口元を抑える真田と目が点の常態で停止している荒垣
結局その日は遅刻したようだ…


・そして2009年、七月現在

→いつもの様に溜まり場へやって来た真田に、荒垣が渋面を向ける
荒「アキ…何度も言ってんだろ。ここはテメェみたいのが来る所じゃねぇ。とっとと帰れ」
真「シンジ、俺は諦めるつもりはないぞ。お前が戻るまで、何度でも来るからな」
荒「チッ…(んなこと言ってお前、もし万が一ここの奴等に変なちょっかいかけられたらどうすんだよ…!)」
→…とは素直に言えない荒垣(ツンデレ)
真「まぁ、今日はそんな硬い話をしに来たんじゃないんだ。ほら」
→鞄から『ぽんかん最中(六個入り)』を取り出し荒垣に渡す
荒「?…んだ、こりゃ」
真「この前屋久島に行って来た時の土産だ。美味かったぞ」
荒「……食いかけじゃねぇか」
真「すまん。帰りの船の中で小腹が空いてつい」
荒「………」
→ふざけんな、とでも言いたげな表情を浮かべている荒垣だが、内心は久しぶりの真田のアホ可愛さに悶え倒していた
荒「……おい、お前もうメシ食ったのか?」
真「ん?いや、まだだが」
荒「…奢ってやる。はがくれでいいな」
真「本当か!?シンジありがとう!」
荒「……うるせぇ」
→満面の笑みを浮かべる真田に何ともこそばゆい気持ちになり、思わず悪態をつく荒垣



さすがに手を繋ぐことはなくなったが、久しぶりに肩を並べ歩く通学路に、少しだけ昔を思い出した


End.


*成長するにつれ段々と態度がでかくなっていく真田先輩に、荒垣先輩は始めショックを受けていたらとても萌えます
そしてそれが自分の影響を受けているからということに気付いてなかったら、尚更です
「アキがグレた…!?」と勘違いシンジ
たまりません…!(ムラムラ)

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