小噺・弐

□ニャンダフル・パニック
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――ある雨の日の巌戸台分寮にて…

真「帰ったぞ」

→外から戻って来た真田が、ずぶ濡れの猫を抱えてラウンジにやって来た

山「おかえりなさい真田せんぱ……あれ?どうしたんですかその猫」
真「道端に捨てられていたんだ」
岳「えっ、猫?見せて見せて!…うわぁ〜!かっわい……くなーい…」
主「何ですかこの猫?目付き悪っ!っていうか怖っ!っていうか猫!?」
真「この人生全てを諦めたかの様な目付きの悪さ、栄養状態の悪いドブの様な毛色の汚なさ…まるでシンジみたいだろう?」
岳「あの…先輩達、親友同士ですよね…?」
真「雨の中で打たれ震える姿がシンジとダブってな…つい連れ帰って来ちまった」
主「…想像したらリアルに気持ち悪いんですが」
山「えっ?そうかな?哀愁漂う男の背中…って感じで素敵じゃない?」
岳「ごめん風花…あたしはどっちかっつーと、警察に追われて逃げ場を失った、凶悪連続強盗犯を想像したわ…」
真「とにかく、体を拭いて牛乳でもやろう。おい天月、こいつを頼む。俺はキッチンから牛乳を取って来るから」
主「あーはいはい、分かりましたー。ほーらこっちおいで〜…」

バリイィィイ!!

主「あいでぇぇえええっ!!て、手がっ!俺の白魚の様な手があぁぁあっ!!」
山「だっ、大丈夫リーダー!?」
岳「あ〜あ、血が出てる」
真「何だ仕様のない奴だな。もういい、俺が拭くから牛乳を取って来てくれ」
主「…手まで引っ掻かれたのに何この言われ様…まるで順平ポジションで不愉快だ!」
岳「順平が聞いたら泣くよ」
山「真田先輩、このタオル使って下さい」
真「すまんな、山岸」

→真田がわしわしと体を拭いてやると、猫は気持ち良さそうに喉を鳴らしている…

岳「あはっ、このコ真田先輩にすっごい懐いてるー」
山「きっと、拾ってくれたから恩を感じてるんだね」
主「真田せんぱーい、牛乳持って来ましたよー。さぁ飲め!俺の愛情ミルク!(ダンッ!)」

→猫は見向きもしない…

主「……下ネタをスルーされるのって…凄く悲しいんだよ…?」
岳「ならすんなっつの」
真「どうした、腹空いてるんだろう?ほら…飲め」

→真田が勧めた途端、猫はぴちゃりぴちゃりと皿の牛乳を舐め始めた

主「…何だこのお約束猫。何だこのエロ猫。だんだん腹立って来たわ」
岳「今思ったんだけど、単にあんたが人として駄目だからじゃないの?」
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