裏物部屋

□タナボタ
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「……ったく、一々紛らわしいんだよ、お前は…」

アキから詳細を聞き出し、ただ単に桐条のスパルタ特訓から逃げ出しただけだと言うことを知った俺は、安心半分、複雑な心境だった
逃げ出した事が恥ずかしくて中々言い出せずにいたアキに対して、勝手に勘違いして…あんな事を…
可能ならば数分前の過去に戻って、自分を殴り飛ばしてやりたい

どれだけはやとちりしてんだ、俺…

「まぁ…その…何だ…悪かったな、変な事して…」
乱れたアキのシャツをきちんと正して、くしゃくしゃに跳ねた短い髪も撫でつける
「腹減ってねぇか?はがくれでも行くか?それとも海丑…」
我ながら下手な話題転換だとは思いつつも、立ち上がり部屋から出ようとした時…

ぐっ、と腕を引かれた

驚いて振り返れば、そこには恨みがましい目で此方を見ているアキの姿
「…随分と、逃げ腰なんだな」
「……あぁ?」
やけに非難めいた口調につられてつい眉間に皺を寄せれば、びくっ、と震えつつもはっきりと言い放つ

「…あんな中途半端な事して、放られて…お前が良くても俺が良くない!」
「………?」

一瞬、アキが何を言っているのか分からなかった
何だこれ、夢か?

「お、俺だって…ああいう事…全く考えてない訳じゃ…」

…ああいう事

…つまり、何だ
それは…

「――してもいいって事か?」
「ばっ!!違っ…!?」
ずい、と近寄って尋ねる俺に、反射で否定するアキ
「…違うのか?」
「え…と、それは、その…ち、違わな……」

もごもごと口籠りながら、見る見る内に赤面していく
そして最後に一言

「……したい」

「………」

――生まれて初めて、神様って奴の存在を信じてもいいと思った





「…嫌だって思ったら言えよ?でなきゃ本当に最後まで行くからな…」
「……ん」
床の上からベッドに移動し、正したシャツを再び暴く
さっきは赤い痕(今はしもやけだって分かったが)に夢中で気付かなかったが、真っ白な肌には所々擦り傷も沢山付いていた
力を求めて、並々ならぬ努力をしているアキの証だ
「あ…あんまりジロジロ見るなよ…そんな良い物でもないだろ!」
恥ずかしがってべち、と両目を覆う様に叩いて来るアキに、思わず苦笑が出る
「いいや……最っ高」
手を取り甲に口付けながら言ってやれば、湯気が出そうな程顔が火照ったのが分かった


飽きる事なく何度も何度も口付けし合って、いい加減息が上がりそうになった頃、そろりと右手を下に伸ばす
「……ぁっ」
びくりと震えたアキを優しく握り込んで上下に擦れば、完全に緩み切った身体は刺激を素直に受け取り、すぐに熱くなっていった
「し、シンジ…何だ、これ…おかし…っ」
「あ?……何が」
目の前のアキの姿に知らず呼吸が荒くなり、ぶっきらぼうに尋ね返す
「だ、だって…シンジに触られただけでこんな…んっ…気持ちい…っ、あ…はや…っ」
「………」
ぶるぶると震えながら、物凄い殺し文句を言って来た
思わず手が止まって、まじまじとアキの顔を見つめてしまう
「……んぅ……?」
必死に俺の両肩を掴んで震えていたアキが、不思議そうに見つめ返してきた

「………キレた」
「え?」

ぽつりと呟き、次の瞬間にはアキの両膝を思い切り開いて、中心に顔を埋めていた
「し、シンジっ!?ひゃっ、やっ…そんな、トコ…やめっ…駄目、っあぁ…!!」
アキの声は耳に入らない
耳に入らないから、止めもしない
コイツを気持ち良くさせたい
初めてだからって、絶対に痛い思いなんかさせない
良くして、良くして
最高のイカせ方をしてやりたい
その気持ちで一杯だった

じゅ、と吸い付けばアキの味で口内が一杯になる
抱えた太股が小刻みに震えて、絶頂が近い事を知らせてくれた
「や、あぁ、…あ!…――っ!!!!」

真っ白なアキが出した、真っ白な命
一滴残らず、俺の物にしてやりたかった

「ふ……うぅ…っ」
初めて人から与えられた絶頂を体験して、混乱しているアキの背中を宥めるように手で擦る
それだけでも感じたのか、甘い鳴き声を上げて必死にしがみ付いてきた
「アキ……」

その拍子にどくりと脈打つ
…やばい、もう限界だ

早くアキの中に入りたい
真っ白なアキに、俺を刻み付けたい
早く、早く――

「………!!」
ギリ、と歯を食いしばり、何とか吐精感をやり過ごす
さっき決意した事をもう忘れる所だった

アキに、嫌な思いは絶対させない
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