小噺

□皆で祝おう荒垣誕!
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「は〜い、じゃあ本日のメインイベント〜。『ドキドキ!天国か地獄!?生きるか死ぬか、デッド・オア・アライブ!なシャッフルタイム』〜!」
「何だその物騒極まりないタイトルは!?色々被ってるじゃねぇか!」
水を得た魚のように生き生きとした表情で天月が仕切り出し、何だかんだで荒垣も全力で突っ込んでいる
「そうそうやっぱこのノリでないと…えー、まず取り出したりますは、こちらの三枚のタロットカード」
びらりと扇状に開げてから荒垣の方へと向ける
「今から荒垣先輩に一枚引いてもらい、出たアルカナによって本日のプレゼンの内容が決定します!」
「…何だ…思ったよりも普通だな…」
てっきりどんな惨劇が待ち受けているのかと身構えていた荒垣は、予想外な内容に虚を突かれた
「まぁメインは先輩のお祝いですし。それじゃカードの内容のご紹介」
「先に言うのかよ!?普通引いてからじゃねぇか?」
「うっさいですね色々都合があるんですよ!(キレ)…はい、じゃあまず一枚目『太陽』のカード〜。これはサービスカードですよ!これを引きましたらば…もれなく『マンツーマン・コロマル好きなだけ撫でさすり放題タイム!』があります」
「な…何ぃ!?」
想像以上の内容に荒垣のテンションが一気に上がる
寮で世話をしている柴犬のコロマルは、性別が雄であり気性もやや気高い所為か、荒垣含め男性陣に撫でられるのがあまり好きではなかった(良くて頭を軽く撫でるくらい)
それが好きなだけ…!(恍惚)
絶対にそれを引こう、と決心する荒垣を余所に、二枚目のカードを見せる天月
「次はこれですね『死神』のカード。ぶっちゃけペナルティです。これを引くと荒垣先輩にはありとあらゆる責め苦を味わってもらうことに……」
「…おい待て、お前ついさっき何か言ったばっかだろ」
「え?メインがお祝い…ですか?その大ウソが何か?」
さらりと言ってのけた天月に荒垣の怒りが炸裂した
「何かじゃねぇよ堂々と開き直んな!何だその内容は!?」
「じゃあ、次!最後『皇帝』のカード〜」
「聞けコラー!!」
怒声を無視して天月が三枚目を差し出す
「――荒真18禁」
「………」
荒垣の動きがぴたりと止まった
「…なわけ無いでしょうこのムッツリさん。普通に皆でパーティー進行ですよ」
フスー、と鼻息で笑う様に、カッと頭に血が昇る
「はぁ!?なっ、ばっ、違ーよ俺ぁ別にっ!!何も言ってねぇだろ!!」
「お〜、面白いくらい見てとれるこのテンパり具合。ねぇ見た?皆今の見た?」
「止めろーー!!」
見た見た、と頷く寮生たちと天月を必死で黙らせる荒垣
もうすっかり主役とは思えない程のいじられっぷりだった
「俺は別に構わんが」
「……え?」
多分意味も分からずに言っているだろう真田の発言に、それでも一同は沈黙した…――


「さぁさぁそれでは運命のシャッフルタイム!!」
気を取り直す様に天月が人間の動きとは思えない素早さでカードを切り、数刻の後テーブルの上にザッッ、と三枚のタロットカードを等間隔に並べた
「右か、左か、中央か……好きな物をお選び下さい」
ニッ、と口元のみで笑い語り掛ける天月は、何処ぞの賭博場にいる人物の様だった


おそらくこれで本当に、今日が天国か地獄となるかが決まる…!

っつーか今日誕生日の筈なのに、何でこんなしんどい目に遭ってんだ俺…という心の声はこの際何処かに置いておく

荒垣はぐっと息を呑み、運命のカードを手に取った…――

右のカードを取る
左のカードを取る
中央のカードを取る
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