鋼の錬金術師/U

□もう一度、貴方に
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俺達兄弟が『こちらの世界』に飛ばされて、どの位の年月が経過したのだろうか。
相変わらず、ウラニウム爆弾の行方は判らない。
そんな中、戦争中である東の島国『ニホン』に、ウラニウム爆弾の威力を利用した爆弾を投下されたと聞いた。

間に合わなかったのだ、俺達は。

―――それじゃ、何の為に俺達は『こちらの世界』に来た?
全ては『あの時』、俺達が取り返す事が出来なかった責任を果たすためだった。

それなのに―――!

「…兄さん」
「ん?」
頭を抱えてうなだれていた俺は、ゆっくりと顔を上げた。
そこには、心配そうに俺を見つめている、弟のアルフォンスだった。
「………これから、どうする?」
その問い掛けに、俺は自嘲気味に笑う。
「どうするも何も、もう俺達は『向こう側』には帰れないんだから、前に進むしかないだろ?」
「………そうだね」
そう言って、アルフォンスは淋しげに笑った。
俺は、言った。
「アル。本当は『こちら側』に来た事を後悔しているんじゃないのか?」
「そんな事ない!」
突然の大声に、俺はびっくりして思わず彼の顔を見つめた。
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