鋼の錬金術師/U
□詩集
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上司
いつも顔を合わせる度に
イヤミばかり口にするアイツ
――本当に気に入らない
いつか、あのスカした面を崩してやりたい
そう、思っていた
だけど気付いてしまった
アイツの『本当の姿』に
知らなければ良かった
本当の『優しさ』に
…でも気付いた瞬間
『全て』が遅かった
何も言わずに
アイツは逝ってしまった
もう――漆黒の瞳は何も映さない…
――生きていて、欲しかった
もう一度イヤミでもいいから声を聞かせて
スカした面でもいいから
笑顔を見せて
そう、願い
拳を天に、掲げる―――
『涙華』より