鋼の錬金術師/T
□1.君が私で、私が君で。
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ある日突然。
彼と私の意識が入れ替わってしまった。
誰だって、まさか『あんな事』で入れ替わってしまうなど思いはしない筈だ。
彼―――鋼のが出した報告書をもっと詳しく訊こうと顔を上げた時。
まさか彼が身を乗り出すように私の手元を覗き込んでいたとは思いもよらず、勢い良く彼の頭と激突してしまったのだ。
頭に走った激痛と、グルリと世界が反転したような感覚。
それから感じたのは、右肩から指先までの感覚の無さと、左脚の異様な重さ。
「あ、あれ?」
私の『声』が、自分からでは無く、目の前から聞こえて来た事に疑問を感じ、ゆっくりと瞳を開く。
――そこには、『私』が居た。
『ええ〜ツ!?』
私達の絶叫が、穏やかだった筈の執務室に響いた…。
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