鋼の錬金術師/Y 20210223

□鶏と豚。
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俺は今、とても迷っている。

目の前には、季節のフルーツとタワーのような生クリームたっぷりのかき氷を写した写真。

そしてもう一枚の写真には、タワーのような生クリームと、ぎっしり詰まったフレークとフルーツとスポンジケーキのビッグパフェ。

その様子を、微笑みながら見つめるロイ。

もし、これらが普通サイズだったら俺は迷わず両方を食べるさ。

だが、先日オープンしてばかりのお店が出すデザートは、シェア専門と思わざる得ない。

何故ならこの店のかき氷も、まるでバケツのような容器に入っているのだ。


そのため、どちらか一つを選ばなくてはならない。


どっちが良いかなぁ、と、ロイを見れば、彼はクスリと笑う。

「食べたい方を選べばいい、」

だから、両方食べたいんだってば。


そう思った瞬間、ふと閃いたのは。


「だったらさ、じゃんけんで決めるってのは?」

「じゃんけん?」

小首を傾げるロイに、俺は言った。

「仮に俺がかき氷でロイはパフェだとして、じゃんけんする。で、買った方のモノを選べばいいんじゃないか?」


それ良い案だな、とロイは笑う。




ーーーーそれからは、どちらか一つ選ばなくてはならない時は、俺達はいつもこういう方法で決めるようになった。


だから。



「どっちにしようかなぁ、」


目の前には、レストランのメニュー表を見つめる、幼なじみのウィンリィ。

どうやら、食べたい肉料理が二つ有るらしい。

なかなか一つに絞れない彼女に俺はふと思い付き、言った。


「じゃあさ、じゃんけんで決めるっていうのは?」


何でじゃんけん?という疑問顔で俺を見つめ返す彼女に、俺は言った。


「仮に俺が鶏で、ウィンリィが豚でーーーーー」


そう言った瞬間、ウィンリィが物凄い表情で俺を睨み付け、ドスの効いた声で怒鳴る。


「誰が豚ですって!?」


そう怒鳴られた俺は、何の事だか分からず目が点。


「なんでアンタが鶏で私が豚なのよ!」




・・・・・・・・・しばしの、間。



「あ!」

ーーーーーそう。

俺はただ、どちらか迷う彼女の為に出した選択肢の言葉で、完全に誤解されてしまっていたのだ。

ちゃんと、『鶏肉』『豚肉』と言うべきだったのだ。


俺は、ぷんぷんしているウィンリィに、笑いながら言った。


「わりぃ、そういう意味じゃなくてさ、」

納得しない彼女に、俺はロイと生み出した『どちらにしようか迷った時に決断する方法』を伝えた。


たが、何故か「紛らわしい言い方したアンタが悪い!」と逆ギレされ、ランチとデザートをキッチリ奢らされたのは言う迄もない。。(〃_ _)σ‖







20180821




実は、二者択一の時はいつもこの方法で選んでいます。

ちなみに、鶏と豚は、夕飯のメニューを決める際、エドと同じ言い方をしてしまって(笑)

相手は私の失言?に直ぐには気付かなかったらしいが、一人で爆笑してしまった事を元にしています。   




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