鋼の錬金術師/X
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君に言えなかったことがある5題/第二章『ごめん〜君に謝りたかったこと〜』
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旅先から帰ってきた、ある日のこと。
俺達は東方司令部へと向かっていた。
だが普段とは街の様子がおかしい事に気付いた俺は、早速売店で新聞を購入した。
その新聞の見出しには、でかでかと『マスタング大佐、反乱分子の鎮圧に成功!』という文字と。
右手を差し出した彼の横顔の写真が、アップで掲載されていた。
だが、その写真を見た瞬間。
まるで、胸が抉られる程の深い悲しみと苦しみを感じた俺は、思わず胸を押さえた。
しかしそう感じたのは、もしかしたら俺だけ、なのだろうか?
現に、彼に恋心を抱いている女性達は、『素敵!』とか『かっこいい!』とかほざいてやがるからだ。
――――かっこいい?素敵?ひょっとしてアンタらの眼は節穴か?こんなにも、こんなにも悲痛な表情をしているというのに―――!
「…兄さん?どうしたの?」
アルに呼ばれ、俺は思わず我に返った。
「……………、いや、何でもない。…司令部、行くか」
こうして俺達は、大佐の待つ東方司令部へと向かったのだった。
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