銀魂・原作

□4月1日○○の場合。
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◆土方十四郎の場合◆




今日は何の日か知ってるか?


…そうだ、一年に一度、嘘をついても良い日だ。


俺が銀時にあんな嘘をついたらどうするかな?


















「銀時…別れてくれ」

「……は?」





万事屋に来た俺は、早速ソファに寝そべってる銀時に1つの嘘をついた。

俺の言葉を聞いた銀時はゆっくりと起き上がり俺を見る。

フッフッフ!驚いた顔して可愛い奴だ。

まさか俺から別れを切り出されるとは思ってなかっただろう?



だが、まだだ。

銀時を泣き縋らせてやりたい。


銀時の泣く姿を見たことがない、一度見てみたいんだ。


だから許せよ、銀時。





「銀時、別れよう」

「……うん、いいよ」





ほら!いいよ。って!


…んん?…は?、…え?い、今、なんて言った?

…何か幻聴が…。


銀時、動揺してるのか?

嫌だっつったんだよな?

聞き違い、だな。

はっきり聞こえなかったぞ?


も、もう一度…。





「…ぎ、銀時?わ、かれよう?」

「…うん、…土方くんがそうしたいんならいいよ別れる?」

「…なっ!?」





別れるゥゥ?

俺が、そうしたいんなら別れるだとォ!?



んなワケないだろうがッ!


いつもは俺がしたいことなんて、させてくれた事ないのに!



いや、待て!!

そんな事より。

…このままじゃホントに別れる事になってしまう!


それだけは絶対嫌だ!





「…ちょっ、待て、銀…今日は、何の日だ?」

「え?…俺と土方くんが別れた日?」





ちっがァァーーーーう!!





「銀時!今日はな?…」

「俺、もっと土方くんと一緒にいたかったけど…残念だな…」

「銀時、違う」

「さよなら…土方くん」





嘘だァァーーーーーー!!



気が付けば俺は、そう叫んで銀時に抱き付いていた。


もう、エイプリルフールとか関係ねぇ。

















別れるのは嘘だと。

今日は嘘ついても良い日だとか。

必死になって俺の腰にしがみついて弁解する土方くん。



俺を騙そうなんて10年早いんだよ。


つーかお前、顔に全部出てるんだもん。まるわかり。



泣きながら鼻水を垂らしてすがりついて今までの意図を洗いざらい喋る土方くん、男前が台無しだぜ?



…少しやりすぎたかな?

可哀想になってきた…。





「…土方くん」

「嫌だ、銀時!嘘だ。絶対別れない!」

「うん、別れねぇ」

「俺がバカだった。嘘でも銀時と別れようなんて言うなんて」

「…分かってるって」

「好きだ銀時、別れない、絶対別れない」

「うん、俺も好きだよ、絶対別れない」

「ホントか?」

「うん、騙して悪かったごめんね?」

「…銀時」





絶対 離さないとでもいうかのようにいつまでも、銀時の腰に泣きすがりついていたのは。

騙すつもりが、騙された土方の方である。







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