短編集。

□春に
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「この気持ちはなんーだろーっ」
「…」
「この気持ちはなんーだろーーーっ!」
「……」
「目に見えないエネルギーの流れがー」
「…目に見えるエネルギーってなんやねん」
「大地からー足のうらーを伝わってーーっ」
「………気持ちわるっ…」
「んーんーんーんー」
「…いきなりどした?」
「今はな、男子がメロディやねん!」
「ふーん」



私が歌う詩の
一つ一つにツッコミいれて
なんか問い掛けてきたから
真面目に答えたのに
興味無さそうに相槌をした

それを気にせず
歌い続ける




「んーんんんんんー」
「…んー長いやろ…絶頂かいな…」
「僕のー腹へー胸へ、そして喉ーへ」
「きしょいわぁ…」
「声にならない叫びとなってー込み上げる」
「叫べばええのに…」
「この気持ちはなんーだろーっ」
「知るか」
「…光煩いっ」
「俺は優しいんやで?」
「何処が!」
「ちゃんとツッコミしとるやろ?」
「……枝の先のーふくらんだー新芽ーが心をつつくー」
「無視かい」
「しかし悲しみでもあるー」
「……いらだちだー」
「しかも安らぎがあるー」
「…詩の良さが分からん…」
「憧れだーーそしていかりがーーー」
「…はあ?」
「隠れているーー」
「……それって……」
「心のーダムにせきとめられーー、よどみー渦巻きーせめーぎあいー今ー溢れようとーすーるー」
「……かわええな、お前」
「この気持ちはなんーだろーっ、この気持ちはなんーだろーーーっ」
「…あの空の」
「そらのっ」
「あの青に」
「あおにー、てを浸したい」
「……浸したいなぁ…」
「まだあったことのない全ての人と」
「人と」
「あってみたーい話してみたいーー」
「明日とー」
「あさってが一度にくるといいー」
「僕はもどかしい」
「……いつの間にか光が乗っとる」
「別にえぇやろ、」
「ううんっ、超嬉しいっ!」
「地平線の彼方へと」
「歩きつづけたいー」
「そのくせーこの」
「草のうえでじっとしていたいーっ」
「「声にならない叫びとなってー込み上げるー」」
「この気持ちはなんーだろーっ」
「それはな、」
「へ?」
「恋って言うんやで?」
「へっ?//」
「そーゆー意味で歌ったんやろ?」
「いや、ちゃう、違います、」
「自分、動揺しとるで?」
「ちゃ、ちゃうっ//」




真っ赤になって
否定する私を
軽々抱き寄せて
私に囁いた




「                 」
「ッ…//」




言い終わったあと、
手をひらひらさせて
光は 教室に戻っていった










「残念やな、俺はお前に恋してるのに。」




 
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