短編集。

□春に
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この季節になると
どうしても歌いたくなる





      春に




「この気持ちはなんーだろーっ!」
「……いきなりなんやねん」
「この気持ちはなんーだろーーーっ!」
「おい聞けや」




そう言って
私の頬を両サイドから引っ張る

彼の名前は
財前 光




「いひゃい!いひゃい!」
「なんやの、お前」
「……」
「あーあー、離すから………で、なんやねん」
「歌いたくなってん、」
「はあ?」




私のいきなりな
"歌いたくなった"という発言に
呆れたように返事した




「だって、春やろ?」
「…せやな、」
「春なら"春に"を歌わな!」
「………よぅ分からん」
「まあ、聞いてて!」
「しゃーないわ」




やっと
納得(?)してくれたので
私は歌う







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