セネクロりたいかぁ!?

□独占欲
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「セネセネって独占欲強そうだもんね〜っ」



独占欲?

本当にそうか?

自分のモノに他の誰かがちょっかいを出してきたら、
そりゃあ誰だって気に入らないだろ?

ましてやそれが仲間でもあり大切な女性でもある彼女なら尚更―――










朝、クロエの住む病院の一階。

普段より早くに午前の診察が終わったらしく、今ここに居るのはオレとクロエの二人だけだ。

オレは入り口を背にクロエと向かい合って立っていた。


「…クロエ、さっきのはなんだ?」

「………」

「街中だからって気を抜いて…あれが本気だったらどうするつもりだったんだ?」

「………」

「何か言ったらどうなんだ?」

「………おまえが何を怒っているのかがわからない」


軽く息を吐きながらオレを見るクロエ。


「…別に怒ってなんかない」

「怒っているだろう…。大体、私が何をしたというんだ」

「わからないのか?」

「わからないから聞いている」



朝、パンが上手く焼けたからクロエに届けてやろうと思って病院を訪ねたら患者の一人が帰り際にクロエの頬に口付ける瞬間に遭遇した。

オレの不機嫌の理由はそれだけで充分だ。


「…おまえはああいうことを平気で許せるのか?」

「…ああいうこと?………もしかして、さっきの…?」


オレが頷くと呆れた顔をして、


「…相手は子供だぞ?」


―――そう。

クロエに口付けたのは常連患者で、普段からクロエによく懐いている子だった。


「更に言えばあれは女の子だ。…親愛のキスくらい普通だろう?」


腕を組んで俺を見るクロエ。


「………オレだって、まだしてないのに………」

「Σはあ!?」

「っだから!オレだってまだクロエに何もしてないのに、ああいうの見せられたらむっとするのが自然だろ!?」

「自然なわけあるか!子供に嫉妬するとかおまえはいくつなんだ!!/////」

「子供とか関係ない!オレのモノに他の誰かが触れるとかが嫌だってなんでわからないんだ!」

「っ〜〜〜ッ/////」


思わず口走ったその言葉にクロエの顔はみるみる赤くなって今にも湯気が出そうだ。





『セネセネって独占欲強そうだもんね〜っ』




―――不意にノーマに言われた言葉を思い出した。


そういうことか…

もちろんこの気持ちは当たり前なのかもしれないけれど。

他の誰から見ても今のオレは馬鹿だと思われるかもしれないけれど。





「…なら、キスさせてくれたら許す」

「Σな!/////」


動揺するクロエが可愛い。


「オレたち、一応そういう仲なんだし別にかまわないだろ?」

「っそ、そういう仲って…/////」


何かあれば我先に動くクロエでも、こと恋愛面に置いてはなかなか一歩踏み出せずに居る。

それも手伝ってか、お互いに気持ちを確認したまでは良かったもののそこからは全く進展がなかった。


「…駄目か?」

「〜〜〜だ、駄目ってことは…な、いけど………って!い、いきなりそんなこと言われてもだな…/////」


追い詰めるように俺が一歩近付けばクロエが一歩下がる。

数歩それを繰り返したところでクロエの踵が階段に当たった。

逃げ場を求めてそこから更に壁際へと後ずさっていく。



…そっちじゃ自分から逃げ場をなくしてるようなものだぞ…



心の中で苦笑しながら顔には出さずにクロエとの距離を詰める。

そしてクロエが後ろ向きに階段に上がろうとする前に両腕で壁際に追い込んだ。


「…で?次はどこに逃げる気だ?」

「っ…/////」



そんな赤い顔で睨まれても可愛いだけなんだがな…



「…クロエ」

「っこ、こういうことはだな!…や、やっぱり時と場所を考えて/////」

「誰も居ないし誰も見てない。いいタイミングだと思うけど?」

「だ、誰か来るかもしれないだろうっ…!」

「なら、クロエの部屋に行くか?…ただ、その場合はもっと覚悟が要るかもしれないぞ?」

「な!?か、覚悟って!??」


口の端を軽く上げて、


「…それは言わなくてもおまえがなんとなく察してるんじゃないか?」

「〜〜〜っ/////」



おーおー、更に赤くなっちゃって。

何を想像したのやら♪



吐息がかかるほどに顔を近付けて、


「…すぐ済むって」

「っそういうことを言うなっ/////」

「じゃ、いいんだな?」

「うぅ…/////」

「睨んでも唸っても駄目。ほら、瞳くらい閉じろ」

「ほ、ホントにするの、か…って、んっ…/////」



…ここにきて何を今更…



とは言わずにクロエの唇に自分のそれを重ねた。



―――柔らかくて、甘い…



「っふ…、んぅっ/////」


軽く口付けて終わるつもりが、つい欲が出た。

一瞬離れた後、今度は深く口付けて。



…唇を離せばクロエの息が上がっていた。


「…意外と…」

「っ…な、んだ!」

「柔らかくて驚いた」

「〜〜〜っ!!!/////」



自分の顔が少し熱い。



湯気が出そうな顔のクロエの肩に顔を埋めて、


「…でも、良かった…」

「良…って/////」

「あ、いや…確かにそっちの意味でも良かったけど。…ここがクロエの部屋じゃなくて良かったな、って」

「…?ど、ういう意味…だ?」


顔を上げて瞳を合わせてから、


「…クロエの部屋だったら、止まんなかったかも/////」

「〜〜〜っ!!く、クーリッジ、おまえなあ!!!/////」







end


あとがき(という名の言い訳;)

わ〜〜〜ん、ごめんなさい〜〜〜;;
リクエストを受ける時に「時間がかかるかも」とは書きましたが
我ながらここまでまとまらないとは思わなくて;;
ネタを考えている時に色んなサイトをウロウロしてたこともあって
「これに似てるから駄目だ」とか「それはなんか違う気がする」とか
散々悩みまくった結果、約半年もかかってしまいました;;
リクエスト頂いた方はもしかしたらもう見ていないかもしれませんが
後半は打ってて楽しかったですw(久々に甘々セネクローvvv)
「モテるクロエに嫉妬するセネル」だったかな?;;
リクエストありがとうございました!!

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