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□貴方を抱きしめるのは
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「嫌いだよ。お前なんか。」
顔を背けながら先輩はそう言った。
何で、こうなった
事の発端は僕が町で女のコと歩いていたことから。
別に何てことはない。ただ、町で知っている女のコに会ったから、分かれ道まで一緒に歩いていただけ。
そしてこんなことになってしまった。
どんなに話しかけても、その度に大声を出して耳を塞ぎ、肩を掴んで落ち着かせようとしても、思いっ切り払われてしまう。
そして僕が"カカシ先輩"と呼べば、さっきの台詞を言われた。
(嫌いだよ。お前なんか。)
「………。」
これは流石に痛かった。大好きな先輩にそんなことを言われたら傷付かない筈がない。だが、先輩はもっと傷付いたのだろう。あんな態度をとるくらいだ。
「せんぱ「うるさいッ!」聞いてくださいッ!!」
「…ッ」
僕はこの時初めて、先輩とこの場で今喋っている時に大声を出した。
先輩は顔を背けながら、身体を揺らした。
顔は前髪で見えなかった。
唯、不謹慎ながらも嫉妬してくれているのかと思うと嬉しかった。
「…あの子は、ただ町で会った知り合いです。」
「僕には、貴方しかいないんですから。」ギュッ
(僕が居なかったら誰が貴方を抱きしめるの)