お題小説
□お題小説
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赤で連想するものは、あまりいいものはない。
禍
昔から赤色はいい意味で捉えられる事が少ないです。
赤、そう言われると真っ先に思い浮かぶのは"血"が多いです。
絵理奈)………。
そして昔から"禍を招く色"と言われ、忌み嫌われる色でもあります。
絵理奈)………。
目の前にある鏡に映っている自分の右目を見ると、右目の色は左目同様に茶色です。
1度、目を瞑りゆっくり瞼を上げると…右目の色が"朱色"になります。
絵理奈)(血にもっとも近い色……ですか)
あたしの"右目の本当の色は朱色"なんです。
阿修羅《絵理奈は、朱色の瞳が嫌いか?》
あたしの様子を見ていたのでしょうか、あたしの中から話しかける阿修羅様。
絵理奈)嫌いではない…、と言うと嘘になりますね。
血を思い浮かばせる朱色の瞳。それはあたしの中に阿修羅様がいらっしゃ証拠です。あたしは阿修羅様の事は好きです。
ですけど、この朱色の瞳は好きではありません。
絵理奈)赤は何故忌み嫌われる色なんでしょうかね…。
ただ、血の色と同じだけですのに……。
阿修羅《仕方ない。人の中に流れる血の色と同じ色なんだ、忌み嫌われても致し方ない》
そう仰る阿修羅様。
絵理奈)阿修羅様は……
阿修羅《ん?》
絵理奈)朱色の瞳がお嫌い、ですか?
茶色の髪、朱色の瞳、それは今のあたしの容姿にあり、阿修羅様にもあります。
ただ違うのは阿修羅様は両目が朱色である事です。
阿修羅《確かに茶色の髪に女子としての白い肌には朱色の瞳は、よく映える》
「だが……」と続ける阿修羅様。
阿修羅《この朱色の瞳は嫌いではない》
迷わずにそうお答えになる阿修羅様。
絵理奈)何故ですか?
あたしが阿修羅様にお訊ねしますと、阿修羅様は小さく笑い……
阿修羅《火の色である色だ。火を操る私には相応しい色だろう。それに操るものの色が瞳の色なのは、私に限った事ではない》
確かに阿修羅様は火なので朱色、夜叉様は水なので青色、嵐様は大地と自然なので緑色、
武者様は電気なので黄色の瞳をしていらっしゃいます。
阿修羅《そう考えると悪いものだと思わないだろう?》
「この瞳の色は私が火を操る者と言う証だ。」と付け加える阿修羅様。
阿修羅《それに何もこの朱色は悪い意味だけではない》
絵理奈)…そうですね。
阿修羅《太陽、林檎、火、そして私が好きな苺の色でもあるぞ》
例を挙げていらっしゃる中で阿修羅様のお好きな食べ物である苺を出した瞬間に凄く明るい声になった阿修羅様。
その明るい声はまるで子供のような感じだったので……
絵理奈)阿修羅様…恐れ多いのですが、まるで子供のような感じでしたよ。
思わず笑ってしまいました。
阿修羅《私だって幼子のようになる時もある》
絵理奈)それはあたしにとっては意外な事だと思いましたよ。
今はこの朱色の瞳が嫌いですけど、これから阿修羅様みたいにこの火を操る者として相応しい色だと思い、
悪い意味だけで捉えるだけではなく、いい意味としても捉えられるようになり、
この嫌いな朱色の瞳が好になれたらいいな、と思いました。
あとがきです。
今回のお題は"禍"です。
久しぶりにお題小説を更新しました。
今回のお題小説にも阿修羅様をご登場させて頂きました。
さて、話題は変わりますが、あたし個人としては赤色は好きです。
ですけど、赤色をお好きな方って少ないんですよね。小説内で書いた通り、赤で連想するもので、
いいものがないんですよね。それでお好きな方が少ないみたいです。
この小説が出来たのを見た所、『朱色』と言う言葉を使う所は色を朱色にしているんですけど……、
背景の色が原因でもありますが、オレンジ色に見えるんですよね。
んー…色の組み合わせは難しいですね。
2010.08.05