蒼空のキセキ

□00.プロローグ
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暗闇の中、体を机に向かわせ、何かに取り憑かれたように必死にペンを持ち動かしている一人の人物




「…できたぞ!!完成だ!!!」

男の声と共に近くの高い木に雷が落ちる

男は“何か”が書かれている紙を天に掲げる






「これで…、」


−−救われる…!!





「へぇ、ついに完成したんだ」



−−びくっ!!

肩を大きく震わせた

後ろを振り返ると、いつの間にか開いていた扉
そこには人造人間の“嫉妬”の罪を持つーーエンヴィーが立っていた




「お、お前は…誰だ!!?!」

「あんたは知らなくてもいいよ
あ、でもその研究は僕がもらうよ。お父様が必要としているんだ」

「なんだと!?!!」

「素直に渡してくれたら命だけは助けてあげるよ。抵抗するなら殺すけどね。僕的には抵抗してほしいけどね」

愉しそうにに喉の奥でくつくつと笑っている



 目の前にいるこいつは人殺しを快楽のように感じている。狂った殺人鬼のようだ。と男はそう感じた




「ふざけるな!!!!!これは大切な物だ!!絶対に渡しはしない!!!!!」

男は紙を懐にしまい、手を合わせ、手の甲に描かれている錬成陣を使い、錬金術を発動させる

男は床の石から剣を錬成し、すぐ構えた




「あんたに殺しなんかできるわけ?」

まるで嘲笑うかのように笑う


こいつは俺を見下しているのだろう…

別に気にしていない



俺はこれを友に渡せれば、それでいい…



−−死んでも構わない−−






ああ、彼女に怒られてしまうだろうか

頭に浮かび上がるのは彼女の姿



「はは…」

小さく乾いた笑いを洩らした




彼女は美しい

俺には不釣り合いの女性だった

なんで彼女が俺を選んだのかわからないほどだ




彼女なら、俺なんかの男よりも素晴らしい男性に会えるだろう




彼女の笑い顔を見るのが俺の幸せだった
怒った顔も寝顔も全てが幸せだった

その中でも好きなのが君の“笑顔”





だから、俺が死んでも

−− 笑っていておくれ







「人は大切な者のためなら強くなれるのさ。人殺しを楽しむお前には到底わかるまい」


男は満ち足りたような儚い笑顔で笑う
エンヴィーはその言葉に気に入らなさそうに顔を歪めた







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