空のおとしもの

来訪者
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今日も変わらず、聖域は安泰だ。朝は燦々(さんさん)と輝く太陽が空に映り、夜は聖闘士を守護する星座たちが優しく聖域を照らす。
そんなある日。
「教皇代理様、お呼びになられた陰陽師がお越しになりました。ですが…」





「何?ちびっこ陰陽師が来ただと?」
「はい。そうなんです。しかも当の本人は喋ろうとしませんし口を開いたかと思えば、私は十四歳だ、としか言わないんです」
白銀聖闘士の誰かが教皇代理に必死で事情を説明している。

しばしの空白。

「よし、入れてやれ」
「はあ、分かりました、ですが何故?」
「実は…」

昨日、スターヒルで教皇代理は空を眺め、大地の吉凶を占っていた。そこに、一つの星の知らせがあることに気づいた。
『「し」「ょ」「う」「じ」「ょ」「陰」「陽」「師」?』
最初は怪しさを感じていた教皇代理だったが、星の知らせを信じることにしたのだ。
星の知らせはこの閉鎖空間な聖域で重要なものである。昔から、星の知らせは信じて来たのだ。
「…という訳でこの判断に至ったのだ。分かったらその『ちびっこ来訪者の陰陽師』を入れてやれ」
「分かりました」
そういい、白銀聖闘士は教皇の間を飛び出て、走っていった。




「いつまで待たせるのやら…」
門の前に一人の少女が佇んでいる。どうやら何かを待っているようである。
青く澄んだ空は太陽を映し出し、人々の役に立っている。だが、今は夏。とにかく暑いのである。
「すいませんでした!お入りください!」
突然、少女の前に重装備の男が現れた。
「やっと、入れる」
少女は、そう呟き、門をくぐり、中へと進んでいった。
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