華咲く頃が終わっても


□13 こんな奴見たことない
1ページ/1ページ


それは、快楽と言う………

「多紅世さん」

「な、何?」

「僕の気持ち分かりますよね?」

ジリジリと知覧が近付いて来るのを、多紅世は意味が分からず後退していった。

「あたっ!」

後ろにあったベッドに躓いて多紅世が座り込んだ。

「ずっと、待っていた………多紅世さん」

「な、何、何、知覧君どうしたの?」

しかし、その問いかけには知覧は答えずそっとベッドに上がった。

「愛してる、多紅世さん」

「んーっ!!」

コツンと頭を軽く押さえ、キスをする。

「はあっ、待って知覧く………」

ゆっくり、ゆっくりと知覧の舌が首筋を舐めて耳元をやんわり噛む。

「知覧君っば………あっ!」

跳ね除けようともがくが、知覧ががっしり強い力で手のひらを密着させていた。

「ち、知覧………君………」

決して無理にはしない、知覧のテクニックに多紅世も次第に落とされていった。

「ん、ん、ん、はぁ、あ、あ、あ」

「ノッて来ましたね多紅世さん」

「ち、らん、くん」

「イっても良いですよ」

「あああーっ!!」

多紅世がついに根負けしてピーンと張った肉棒から白濁液を噴射した。

「はい、お疲れ様でした!!」

ケロリと知覧が多紅世を離し、ベッドを降りると服を着た。

「ち、ら、ん………」

「あー、暫くは動けないかもです!ゆっくりおやすみ多紅世さん」

カチャッと部屋の鍵を開けてパタンと扉を締めた。








「全く、最近の学校は!!」

「あっ父さん」

外に出ると父親が帰って来た。

「おお、知覧!学校には抗議しておいたからな、もうお前をつけまわす事も無いだろう」

「有り難う、父さん」

「やけに元気だな?良い事でもあったか?」

父親がニコニコ話しかけてくる。

「うん!!」

ツラレて知覧もニコニコ返事を返した。

「お腹空いたなー」

家に入り、キッチンへ向かうとプライベートルームのドアが開き、多紅世が出てきた。

「おお、多紅世さん!知覧の相手をしてくれたそうだな、助かるよ」

「………ええ、まぁ」

と、同時に扉が開き、麗華と真理亜が帰って来た。

「ただいまー!」

「おかえり真理亜、何か美味しいもの食べて来たのかい?」

「お父様にも食べさせたかったですわ!」

「ははは!ほれ、クリームが付いているよ」

真理亜がいやーんと燥いだ。

「姉貴、僕のはー?」

「無し!!」

きっぱりと言われ、ちぇーっと知覧が頬を膨らませた。

「あの………さ、知覧君」

多紅世がおいでおいでと手招きすると。

「何ー?まだ続きがしたいのー?」

「違う違う!」

と、慌てて両手を振った。

こんな奴見たことない、と心から思う多紅世だった。

「えへへー!」

多紅世に向かってピースサインをする知覧を見ながら、真理亜が不思議そうな顔で首を傾げた。

「知覧の笑った顔なんて久々見たわー」

「姉貴ー!いぇーい!」

今度は真理亜に向いて来たが。

「べーだ!」

「がーん!!」

あかんべされてカルチャーショックな知覧だった。

「ふふふっ」

そんな二人を見て、不思議と笑みが零れた多紅世は「ま、いっか」と小声で言った。








·
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ