進撃の巨人

□リヴァイ兄さんと俺。
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部屋の掃除を終え、仕事に取り掛かろうとするとカーテンの向こうからポタポタと窓を打つ音が聞こえた。

「……雨降ってきやがった」

予想外れの雨。急などしゃ降りにリヴァイはチッと舌打ちをして、急いでベランダの窓を開け洗濯物を取り込んだ。

……エレンのやつ、傘を持ってる分けないよな。

「……しょうがねぇな」
迎えに行ってやるか。車のキーや免許証を取りにリビングに戻ろうとした時、インターホンが鳴った。
タイミングが遅かったようだ。きっともうエレンが帰ってきたんだんだろう。
扉を開けると、思った通りびしょびしょに濡れたエレンがいた。

「……た、ただ、いまリヴァイ兄さん」
「…ああ、まだ部屋に上がるなよ。濡れてんだから」
「うん」
「息、乱れてるぞ」
「学校から走ってきたから…全力で10km走るのはキツいなー……」
「いいじゃねーか。いい運動になるぞ。それと服脱げ。洗濯するから」
「えっ…兄さんの前で脱ぐの?」
「んだよ、別に兄弟だろーが」
「そ、そうだけど……」
「……ま、風呂沸かしてくる。これで拭いとけ」
リヴァイはエレンの頭の上にタオルを乗せ、風呂場へ行った。
「あ……うん」


レンはふぅ…と一息ついて、
びしょ濡れになった髪をタオルで拭いた。洗い立てのタオルからほのかに洗剤の匂いが香る。
……兄さんの匂い……。
兄さんの匂いは落ち着く。
小さい頃から血の繋がらない俺を厳しくも可愛がってくれた兄さん。
俺は兄さんが、好き。
兄としてではなく、一人の男として。
物心ついてから兄さんのことを意識し始めていたことは兄さんには秘密だ。

「おい、エレン風呂沸いたぞ」
「……あ、ありがとう」
そう言ってそそくさと足早に風呂場へ向かう。

「はぁ……。」
湯槽に冷えた体を預け一息ついた。
……そういえば、小さい頃は兄さんとよく風呂に一緒に入ったなぁ。髪を乾かしてもらって、一緒に寝て……。懐かしい。正直今でも兄に甘えたい気持ちはある。甘えたいというか、単にあの人と……その……いちゃいちゃしたいのだ。

風呂から上がるとリビングからいい香りがした。
「上がったか」
「うん、……いい匂い」

「今日はお前の好きなカレーだ」
「…!本当!?リヴァイ兄さんのカレー、久しぶりだなぁ!」
幼い頃の自分に戻ったように目をキラキラと輝かせた。自然と声のトーンも上がる。

「……おい、食う前に髪を乾かせ。風邪ひくぞ

兄さんは俺の肩に掛かっていたタオルを取り上げ、それで俺の髪をわしゃわしゃと拭いた。
「……懐かしいな」
「あ?」
「いや、小さい頃こうやってよく兄さんに面倒見てもらったなぁって……」
「今も十分面倒見てやってるけどな……」
皮肉まじりに兄さんは薄く笑った。なんだか嬉しくなって。

「…いつもお世話になってますこれからもよろしく、兄さん」
「ハッ……生意気言うなガキが」

「……うん、ガキでいいよ、…だから兄さんに甘えていい?」
「……俺に何して欲しい?バカ弟」
「…髪乾かしてもらったから、一緒に寝て欲しいなあ」
「お前、誘ってんのか」
「はぁ!?ただ単純に一緒に寝て欲しいだけだよ!兄さんはいつもなんでエロい方向に持ってくの!?」
「さーなんでだろうなー。一緒に寝てやってもいいが、それなりに覚悟することだな。」
「エロいことはしませんからね!」

そう笑って少し期待するんだ。

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