カゲプロ

□性別としてというより、あなたという人が好きなんです。
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……いつからだろう。キサラギに好意を持ったのは。
気が付いたらキサラギと時間を過ごしていくうちに意識し始めていたんだ。

所詮女同士。「両思いなんかありえるわけないだろ」そう決めつけて自分の思いを殺していた。

だがある日に偶然キサラギとTVで同性愛について語っている番組を見ていて、これは反応を知るチャンスだと「キ、キサラギはどう思う同性…愛」とぶっきらぼうに聞いてみたところ、「んー、別にお互いが好きだったらいいんじゃないですか?」と曖昧な答えが帰ってきてしまった。

くそ……なんで俺は素直に言えないんだ……好きだっていうことを……。

きっと傷付くのが、怖いんだ。
でも、伝えなきゃ答えを知ることは出来ない。

「大丈夫だよ、キド。キサラギちゃんは酷いこと言う子じゃないよ」
カノはニコっと笑って見せた。
……こいつには何もかも見透かされている。幼なじみのあいつらには大抵見通しってことか。
俺も少しだけ微笑んで、キサラギの所へ向かう。

覚悟は決めた。傷付くことも、嫌われることも全て受け入れられるように。
はぁー、と深呼吸をしてキサラギの家のインターホンを押す。
「話したいことがある」と連絡をしておいたからキサ
ラギが出るはずだ。自分の脈がだんだん早くなっているのを感じた。緊張で喉が乾いてしまう。
「はーい」とキサラギの高い声が聞こえて、ガチャ…と扉が開く。
「あ!団長さんこんにちは!」
いつもと変わらない笑顔に少し安心した。
「お、おう……」
顔が強ばってひきつってしまう。顔も合わせられず、目は泳ぐばかりだった。
「だ、団長さん…?あの……話しって……?」
「おお!そ、そうだったな!実はマリーがなお前に会いたいと言っていて……」
違う!何余計なことを言ってるんだ、俺は!!

しょうもない嘘をついてしまった。そんなくだらないことでわざわざ家になんて行かない。キサラギはさすがに察してるだろうな……。

「ええ、そうなんですか!?じゃあ明日遊びにいきますね!」
……そうでもなかったようだ。
流石キサラギ…鈍感なのか天然なのか……

「あ、あの!団長…さんこの場を借りて言うのもアレなんですけど……、
私、団長さんのこと好きです」

「……は?」
しばらくの沈黙の間を置いて、第一声に口を開いたのがこの間抜けな声だ。
「ちょ、ちょっと待て…!おま…!そ、れは恋愛対象としてか……!?」
あまりにも唐突過ぎて頭が混乱している。

「……そうですよ、団長さんを女の子として好きなんですこの前団長さんに同性愛について聞かれた時、実は内心ビクビクしてました」

「…だから素っ気なかったのか…」
良かった、と安堵の笑みを浮かべる俺。
「って、俺がキサラギに告白されてどうする!!」
すぐに我にかえると、

「えぇ!?」
どういう意味ですか団長さん!と慌てるキサラギ。

「え、いや、大体俺が告白する
ためにキサラギの家に来た訳だし……」

「そ、そうなんですか!!?なんだ、私、早とちりだなあー!あはは……」
キサラギは頭をかいて、恥ずかしいのか顔を赤くしていた。

ふぅ、と深呼吸をついて表情を戻す。
「……キサラギ、俺はお前のことが好きだ。…だからずっと、傍に……いて欲しい」
最初は格好良く決められたが、だんだん恥ずかしくなってしまい情けない告白になってしまった。それでもキサラギは満面の笑みを浮かべて、
「……はい!ぜひ!!団長さんの隣は私が!カノさんなんて吹き飛ばします!!」
そういって、ぎゅうっと抱きしめてくれた。
キサラギの相変わらずの雰囲気に俺も自然に笑みがこぼれた。


その後、二人で皆が待つ場所へ向かった。ドアの前で深呼吸をして扉を開
ける。その瞬間、

「キド、キサラギちゃんおめでとー!!」
とカノが最初に口を開いた。カノを見てマリーが、
「えっ、えっ、キドとモモちゃんどうしたの……?」
マリーは頭にはてなを浮かばせている。まぁまぁ、とセトがマリーの肩を叩いて、
「おめでとうっす!今日が二人の記念日っすね!」
セトは爽やかに笑った。

キドさんと私は照れくさそうに笑っていると、携帯のバイブが鳴った。ポケットから携帯を取り出すと、エネちゃんが小声で「おめでとうゴサイマス!」と
可愛らしく笑ってくれた。

私も同じように小声で、「ありがと!」と笑って、再び携帯をポケットにしまい、キドさんの細く長い綺麗な指に私の指を絡ませた。

キドさんは一瞬驚いたが、すぐに微笑んでくれて繋ぎ返してくれた。

「これから、二人でたくさん楽しい思い出作りましょうね!」
「ああ。よろしくな、キサラギ」

私たちは幸せそうに笑った。

――――――
後日、

シンタローは何も知らず、アジトへ行くと妹とキドがべたべたしているので何がなんだか分からず頭を悩ませた。

「ご主人出遅れましたね!」とエネに笑われているその様子を見てカノが楽しんでいるのは言うまでもない。

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