あい
□偽りの心
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私には忘れられない人がいた。
そして彼には愛する人がいた。
彼女はかわいくて、優しくて素敵な人だった。私が入る隙間なんて少しだってなかった。
「静」
「なに」
「・・・やっぱいい」
「なんだよ」
ふったのは私からだった。
彼が怖かった。
いつか離れて行くのならいっそ自分から離れようそう思った。
「なぁ」
「なに?」
教室に声がひびく。
「おれの事すきだろ」
体がとまった。
なんで知ってるの。静の顔を見るとまっすぐ私の目を見ていた。
どうしよう、この際言ってしまおうか私の気持ちをすべて。
でも言ったところで何も変わらないことを私は知ってる。
ただ自分が傷付くだけ。
「・・・そんな訳ないじゃんっ」
ありったけの笑顔をみせた。もう少し強かったらいえたのかな、自分の気持ち。
「・・・そうだよな、
変な事いってごめん」
苦笑いをした静はそれじゃあと言って彼女のところへ彼は行った。
一人きりきりの教室。ひどい泣き声がひびいた。なんて弱いんだ。
あなたが邪魔で
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