原作サイド─四年後─

□初夜
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「ん…っ…、あっ…」
恥ずかしげに声を出すビビ。
賞金稼ぎ時代、裏街道をウロついていた頃に勝手に耳に入ってきていた下世話な話。
あの頃は耳障りなだけだったが、今はそれが役に立っている。
くだらねぇ、てめぇにゃ必要ねぇと思っていた知識。
「ん……、ぁ…ん…、…や……あ…ぁ……」
声からは完全に力が抜けて、ただ漏れるみてぇに力ねぇビビの声が、静かな寝室にやけに大きく聞こえる。
その声と、溢れて止まらねぇ液に触発されながら、上からビビを見下ろした。
「ビビ…」
「ぁ……。ぅ……//////」
息を乱して快感に流されていたビビを呼ぶと、虚ろな目が俺を見て、快楽に流されていたてめぇを見られたのが恥ずかしいみてぇに顔が赤らんだ。
「いいか…、入れるぞ」
「ぅ……、ん…⊃」
訊いた瞬間、ビビの表情に不安の色が浮かんだ。
「…怖ぇならしがみついてろ。痛ぇだろうが仕方ねぇ」
「…ん……」
痛ぇ目はなるべくみさせたくはねぇが、こればかりはどうしようもねぇ。
びびっているこいつを見ているとここでやめてやりてぇ気にもなるが、それでもこいつの中に入りてぇ欲がその気を上回る。
その欲に急かされながら、ビビの声と表情に散々煽られて痛ぇ程に疼くモノをビビの濡れた箇所に当てがった。
「力抜いてろ。加減はするからよ」
「ん…」
俺の背中に腕を回して抱きついてくるビビ。
「いった…!」
「辛抱しろ…っ、じきに済む…っ」
そのビビの中にてめぇを入れ、鋭い声で痛みを訴えたビビの中に慎重に収めていく。
思っていた以上に締め付けてくる熱い肉。
「ぃっ、っ」
力を抜けとは言ったがやはり無理らしく、痛みに体を強ばらせてしがみついてくるビビのその中をゆっくりと進み入り、
「く…」
奥に当たって全部入りはしねぇもんの、ほぼ中に収まった。
が、あまりのキツさと締め付けからの食い千切られそうな痛みに、つい呻きが喉から漏れた。
「…大丈夫だ、もう入った」
「…ぅ……」
俺に抱きついたまま体を強ばらせるビビを抱き締めて宥める。
てめぇのモノも肉に締め付けられて痛ぇが、膜が裂けたビビはそれ以上に痛ぇ筈で。
早くこの痛みから解放はされてぇが、先ずはビビが落ち着くのを待つ。
僅かに息を詰まらせて、なんとか体の力を抜こうとしているみてぇに感じるビビの固く瞑った目にゃあ、大粒の涙が溢れていて。
その涙を親指で拭って、もう片方の目の涙も同じ手の人差し指の関節で拭う。
「…ぅ………ふ……」
「…痛ぇか…」
「…ん……」
未だ強張るビビの頭を一遍撫でて訊いた事に、小さく頷きが返ってきた。
そのビビの頭をもう一遍撫でて、ちぃと弛まってきた締め付けにふと思う。
「…なんか信じられねぇな…」
「ぇ…?…」
てめぇのモノを締め付けてくるキツさと、そのてめぇのモノを包み込んでくる肉の熱さに、改めて実感して。
「…今おめぇん中に入ってるなんてよ」
「う…//////」
(ぅ…)
言った瞬間にビビの顔に羞恥の表情と赤みが入り、ちぃと弛まりかけていた締め付けがまた戻った。
こりゃあ余計なこたぁ言わねぇ方がいいと解って、黙ってビビの締め付けが弛むのを待つ。
「……もう大丈夫そうか…?」
「…ぅん…///。…大丈夫そう…///」
どれくらい経ったか、かなり締め付けも弱まり、脈打つみてぇにヒクついているビビの中に、ビビの様子を見ながら訊くと、口で返すのが恥ずかしいみてぇに小声で言ってきた。
「…ツラかったら言えよ」
「ん…。っ…!」
中に収めているモノを引くと、ビビが歯を噛みしめて、顔をしかめた。
「痛ぇか」
「大丈夫…。続けていいから…」
入り口まで引いて圧迫感が抜けたのか、痛みは感じているらしいが、声には安堵が含まれている。
「ん…っ、っっ、く…っ」
「…っ…。ツレぇか…っ」
血に軋む擦れと、ビビのツラそうな様子に動きを止めようとは思うが、止められねぇ。
一旦動いて擦れから起こってくる感覚に、体と思考が止まろうって気に逆らう。
「大丈夫…っ、大丈夫だから気にしないで…っ」
止まれねぇで気持ちと口だけになる気遣いに返してくるビビは見るからにツラそうだが、止まれねぇ。
ツラそうなビビを置いて、てめぇだけが善がっている事に止まろうとは思うが、体が止まる事を拒否する。
狭さがたまらねぇで、熱さがたまらねぇで。
「ふっ、くっ…!」
「んくっ、ふっ」
止まるどころか勢いが出ちまう体を抑制しようと考えても出来ねぇ。
気持ちよさに体が従っちまう。
「んっ、んうっ」
「っ、ビビ…っ?」
なんとなく変わってきたビビの声。
ツラそうなこたぁツラそうだが、さっきよりゃ表情が緩んで見える。
「んっ、ふっ、んふ…っ、んン…っ」
「っ、はっ、はぁっ」
明らかに変わってきた声に、だがもうそれを気に掛ける余裕はねぇ。
そこまで限界が来ている。
「んは…っ、ミスタ…っ、ブシド…っ」
「っ!、っくぁ!、────っっ!!!」
ふいに聞こえたビビの俺を呼んだ声に一気に感覚が研ぎ澄まされ間近に来た絶頂の感覚に、咄嗟にビビの中から引き抜いて、何とか中に出すのは免れた。
「くっ、っ、ふ…っ、は……」
何遍か余韻をビビの腹の上に吐き出して、一息ついた時に来た軽い倦怠感と、だが逆にやけに体ん中からすっとした感覚も感じる。
「…大丈夫か」
イった時に体が離れたビビの体には俺の出したもんが大量に掛かっていて。
力無くベッドに体を横たえているそのビビに軽く被さって、上気するビビの顔を見下ろす。
「…悪ぃ。てめぇ一人で善がっちまった…」
こいつを気遣う事も、こいつを絶頂に連れて行く事もしねぇで、てめぇの一人善がりで終わっちまった。
「…ううん、いいの…。気にしないで…」
疲れたみてぇな色が浮かぶその顔がちぃと笑った。
「でもあなたでも余裕がなくなる事があるのね…」
「ん…w。、」
かなりみっともねぇ所を見られちまった気がして、思わず二の句に詰まった時、ビビの手が両の頬に触ってきた。
その右手の親指が、俺の潰れた左目の上から伸びる傷の上を撫でてくる。
「なんだか信じられない気分…」
「…何がだ」
「…あなたとこんな風になるなんて…//」
ちぃと赤みを帯びた顔。
その顔に浮かんだのは仄かな笑みだった。
「四年前には仲間だったあなたとこんな事になるなんて…」
「…ああ、俺も信じられねぇよ」
どこか懐かしげな表情で笑みを浮かべるビビに返した。
てめぇが『抱きてぇ』と思うなんざ。
煩悩に抗えなかったなんざ。
なにより、
「おめぇのあんな姿が見れるなんてよ」
「////////////」
言った瞬間にビビの顔が真っ赤になった。
「……ビビ…」
「…なに…//////」
「愛してるぜ…」
「…………」
生まれて初めて使った言葉。
てめぇにゃ縁のねぇ言葉だと思っていた。
だが今は言う相手が居る。
言いてぇ相手が居る。
目の前に。
「…ええ……、私もよ…、Mr.ブシドー……」
頬に触る手が首に流れて巻き付いてくる。
目の前にゃ笑みを浮かべた顔がある。
四年前から惚れ続けてきた女の顔。
望んでもいなかった、それでも手に入った、俺にとって唯一の女。
「愛してる……」
唯一の女から向けられる、言葉。
俺と同じ、俺の中にもある言葉。
笑みと共に、望んでも無かった言葉が告げられる。
「…ああ…」
夢心地ってのはこういう事を言うんだろう。
てめぇ勝手に生きてきた俺が、望む事無く手に入れた、俺の全て。
てめぇの全てを掛けていいと思える、唯一の女。
ビビ。
その最高の女王が浮かべる笑みを見ながら、まだ終わりを知ってねぇビビの首筋に口を当てた。

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