原作サイドパラレル─真章─

□祝い
2ページ/3ページ

「くそ…!#」
男部屋に入って、くだらねぇ恥をかいた憤りにソファーに背中から倒れ込む。
「………#。…………」
ムカつきの中、なんとなく今飯場に残っているビビの事に気が行った。
あいつの事だから、今頃ナミを筆頭に他の連中にも冷やかされて戸惑ってやがるだろう。
(…………)
やっぱり無理矢理にでも連れて出てくるべきだったかと、置いてきた事をちぃと考えちまった。
「…Mr.ブシドー//////w」
「あ?。…ビビ」
部屋の戸板が開く音と、すぐに聞こえたビビの声に出入り口を見上げると、ビビが上から覗き込んでいて。
逃げて来れたかとソファーから起き上がって、ビビの覗く出入り口の下でビビを見上げた。
「はい、これ…」
「あ?。…………」
ビビが手を伸ばして差し出してきたのは、さっきのナミの奢りの酒で。
「ナミさんが渡して来いって…。…私との交際を受けたご褒美って…///w」
「………ち…w。アホかw」
何が褒美だと、首を下ろしながら舌打ちして。
再度上のビビを見上げた。
「…私ももう今日はこのまま休むから…。…おやすみ、Mr.ブシドー」
「…………。…待てよ」
「?。なに?」
顔を引っ込めかけたビビを止めると、またビビが見下ろしてきて。
「……一口ぐらい飲んでかねぇか…」
片手に持つ酒を軽く持ち上げて、ビビに見せた。
「…いいの…?。一緒にいるとこ見られたらまた冷やかされるわよ…?⊃」
「………仕方ねぇだろ…、もう…w」
あれだけ騒がれて。
今日だけはついでの冷やかされだと、癪には障るが諦めの気分で言うと、
「…ん…。じゃあ待ってて。コップ取ってくるから」
ビビも同意し、出入り口から一旦姿を消したビビがまた戻ってきて。
マストの棒階段を下りてきた。

「…まさか恋人になって一緒に飲む事になるとは思わなかった…//」
「…そりゃこっちのセリフだ」
テーブルを挟んで向かい合って座り、ビビの持つコップに酒を注ぐ。
「……ねぇ…、Mr.ブシドー…?」
「あ?」
注ぎ終え、瓶の口をコップから離したと同時にビビが呼んできて。
「……あれ、本当にそうなの…?」
「"あれ"?」
ビビが言う『あれ』が何を指して言ってるのか解らねぇで、無意識に片眉が傾いた。
「ん……、さっきナミさんが言った…、…私の事好きって話…」
「っ!w」
「あれ…、本当に当たってたの…?」
「…っ……w」
ナミのヤツが言い当てやがった弊害が今来やがったw。
(………w)
こんな事なら引き留めるんじゃなかったと思いながら、だが今訊いてきたってこた、どうせいつかは訊かれる事にゃなってただろう。
(…………)
もう半分…いや、もう確定として完全にバレちまってんだろうから、隠すのも意味はねぇと思う。
ナミの言う通り、こいつの申し出を受けた時点で、あのナミの勘ぐりを肯定してる事になっちまったんだから。
「……そうだよ。……俺はずっとおめぇが好きだった」
内心ほぼやけくそ混じりで白状した。
ナミが言ってこなけりゃ、これから先も言うこた無かった言葉を。
「………。本当に当たってたんだ…」
俺の前でちぃと呆然とした顔をするビビ。
「…どうりで…、あなたが交際の言葉を受けるなんてちょっと意外だったけど……。…そうなんだ……」
「……勘違いするなよ」
「え…?」
やけに納得している様子のビビに、妙な誤解をされねぇ為に口を開いた。
「クソコックにも言ったがよ…、マジで俺はおめぇとどうこうなる気は無かった」
「………、じゃあ…どうして受けたの…?」
「…………。……おめぇが言ったからだ」
「私…?」
訊いてきたビビに答えると、僅かに目を見開いて、意外げな顔をした。
「……おめぇの望みなら、…叶えてやる気でいた」
「…………」
てめぇの内心。
こいつに惚れた時から今まで、そしてこれからも。
俺が出来る事ならしてやる。
こいつが望むなら。
「アラバスタを取り戻すのも、強くなりてぇ、だから戦い方を教えてくれ。その言葉も、おめぇが望んだから、俺は協力した」
「……それは…、私が好きだから…?」
「ああ。そうだ」
「………。…そう…なんだ…//」
バレたのなら逃げはしねぇと否定しねぇで肯定した俺に、ビビが僅かに頬を赤らめて俯いた。
「…やっぱり…、あなたを選んで正解だったかも…///」
「…………」
照れくさげに俯きながら漏らしたビビ。
それを見ていると、ビビが顔を上げた。
「…じゃあ…これからもよろしく…//。Mr.ブシドー//」
「ん………まぁ…こっちこそ…」
幾分照れ臭げに言うビビに、つられて妙な気分を感じて。
誘ったのはてめぇだが、ビビの言葉のせいで妙な空気になっちまって。
その空気のまま、ビビのコップとてめぇの酒瓶を当てた。

次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ