─原作サイド─

□礼
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(…………w)
振り向きながら私に返したMr.ブシドーが片手でひょいと、見るからに重そうなバーベルを持ち上げて。
初めて見た時は驚愕に唖然とした程の、相変わらずのMr.ブシドーの信じられない腕力に言う言葉を失う私の横を歩いて、さっき座ってた樽にまた腰を下ろして。
そのまま、300キロはある筈のバーベルをダンベル代わりに片手だけで上腕筋を鍛え始めた。
「…………」
その彼を見ながら、呆れの中に違う感覚を感じた。
強さ。
この人の強さ。
力の強さ。
心の強さ。
それに、なにか胸に感じる。
ストイックに強さを求め、強い精神力を持つ、強い人。
リトルガーデンでのあの時も、間近に見たMr.ブシドーの余裕の態度と笑みに、彼の強さを見た。
その強さは、今私が一番欲しいもの。
国を取り戻す為に欲しい、心と力の強さ。
(…………)
「ビビー。ちょっと来てー」
(は……)
「ええ。ちょっと待って⊃⊃」
バーベルで腕を鍛えるMr.ブシドーを見ていると、不意にしたナミさんの声に我に返って。
振り向くと、甲板のメインマストの前にナミさんが立っていた。
「ああ、そうだ。ビビ」
「え?」
ナミさんに寄ろうと階段を下りかけた時、後ろで何かを思い出したようなMr.ブシドーに呼ばれて振り返ると、
「ありがとうよ。足」
ぶっきらぼうな言葉遣いで、普段と変わらない表情だけど、私を見ながらお礼を言ってきた。
「………。ええ、どういたしまして」
お礼を言うタイプじゃないように思えてたから少し意外で驚いて、そのぶっきらぼうながらも素直なお礼に返事を返して、ナミさんが待ってるから階段を下りた。

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