─学園ラブ─

□家族
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「…………⊃⊃」
初めて来たMr.ブシドーの実家。
今日ここに来たのは、Mr.ブシドーの家族の人達に、私とMr.ブシドーが付き合っている報告とご挨拶に。
でもMr.ブシドーは剣道の顧問の先生から今度の大会の事で呼ばれて、遅くなるかもしれないから先に一人で行ってろと、家への道のりを簡単に書かれた地図を渡されて、その地図を頼りに、今Mr.ブシドーの実家の前に立っている。
「…………⊃⊃」
「はぁい。あら…?」
(え…)
一人で挨拶と報告をしなくちゃならない事と、Mr.ブシドーのご家族ってどんな人達なのかしら…とちょっと緊張しながら、チャイムを鳴らして家の人が出てくるのを待っていると、ドアを開けたのは黒い髪の、背の高いきれいな女の人で。
「あ…、あの、えとw⊃⊃、ゾロさんのお母様ですか…?w⊃⊃」
「ええ、そうよ。あなたは?」
お母さんにしては若すぎるし、もしかしてお姉さんかとも思って、でもお姉さんがいるなんて事は聞いてないから戸惑いがちに尋ねると、やっぱりお母さんらしくて。
「あっ、あの私、ミ…(じゃないw)ゾロさんとお付き合いさせていただいてます、ネフェルタリ・ビビといいますw。いつもMr.ブシドーにはお世話になっていますw⊃⊃」
まだ二十台後半っぽい、若いお母さんに少し面食らいながら頭を下げて挨拶した。
「…お付き合い…?。ゾロがあなたと…?」
「あ…w、はい…w⊃⊃」
(?w)
姿勢を戻して顔を上げると、お母さんはなんだかすごく驚いた顔をしていて。
「あ…ごめんなさいね。どうぞ上がってちょうだい」
「あ…はい⊃⊃」
でもすぐに表情が緩まったお母さんに促されて玄関に入って。
「…お邪魔します」
初めて入ったMr.ブシドーの実家の中を玄関から一度少し見回して、靴を脱いで足を踏み入れた。
「こっちにいらっしゃい」
「あ、はい」
お母さんに促されて玄関から真っ直ぐ続く、少し年期の入った木板の廊下を歩き出した時、右側にある二つある部屋の、一番手前のドアのない部屋からノソッと人が出てきて。
「おうロビン、コーラの買い置き…、お?。誰だ?、随分可愛いお嬢ちゃんじゃねぇか」
「あ…お邪魔してます⊃⊃。(えと…w)」
随分上半身の(特に腕の下部分の)がっしりしている、私と同じ水色の髪をリーゼントっぽく上げた大柄な男の人が、私をマジマジと見下ろしてきて。
もしかしてお父さんかしら…wと、挨拶をした後、その大柄な、ギリギリ天井に頭が着きそうな男の人を見上げた。
「お、なんだ親父、どうしたんだ?」
「あら可愛い子。なに?、お父さんの知り合い?」
その体格はすごいけど人は良さそうな男の人を見上げていると左上から聞こえた声に、そっちを見上げると、左の階段から鼻の長い男の人と、オレンジ色のショートカットのきれいな女の人が、私を見ながら降りてきて。
「あの…はじめまして⊃⊃。私ゾロさんとお付き合いさせていただいてます、ネフェルタリ・ビビといいます⊃⊃」
「「「え…、えええーーーーっっ!!?」」」
(Σ!!?w)
さっきお母さんにもした自己紹介をMr.ブシドーのお父さんらしい人と、弟さん妹さんらしい人達にすると、一瞬呆然とした三人が一斉に発した驚愕の大声に驚いて。
(なっなに!?w⊃⊃、なに!?w⊃⊃。私なにか言った!?w⊃⊃)
その反応に自分はなにかとんでもない事でも言ったのかと、心の中で動揺した。
「兄貴の彼女ぉ!!?」
「あの兄貴に彼女!!?」
「ぁ…w⊃⊃、は…はい…w⊃⊃」
驚愕の顔で私を見る弟さん妹さん、おまけにお父さんの気迫の顔に気圧されながら、頷いて返事を返した。
「ほらあなた。ウソップ、ナミも、せっかく来てくれたお客さんに失礼でしょう?。さ、いらっしゃい、ビビちゃん。こっちよ」
「あ…、はい⊃⊃」
廊下を歩いていくお母さんについていって、通されたのは居間だった。
「ここで待ってなさい。今飲み物持ってくるわね。ジュースでいいかしら?」
「あ、はいw⊃⊃。すみませんw⊃⊃」
Mr.ブシドーには挨拶したらすぐに帰れと言われたけど、こんなに優遇されたらそんな事をするのも失礼で。
キッチンらしい、さっきお父さんが出てきた部屋にお母さんが入ったのを見てから、昔ながらのちゃぶ台の前に敷かれた座布団に正座した。
「ねぇねぇ、あんた」
(ぁ…)
後ろからした声に振り向くと、妹さんと、その後ろに弟さんとお父さんがいて。
部屋に入ってきてちゃぶ台を挟んで私の前に座った人達に顔をついて行かせながら、前に座る弟さん妹さん、お父さんを見返す。
「はい、どうぞ」
「あ、すいません。ありがとうございます⊃⊃」
物珍しげな目で私を見ている人達を見ていると、横からお母さんの声がして、氷の浮かんだコーラの入ったコップを置いてくれたお母さんに少し恐縮しながらお礼を言った。
(…………w)
コップの横に置かれたストローを袋から出して、一口だけコーラを飲んでから口を離す。
でも顔が上げづらいw。
お父さんの隣に座ったお母さんも加わって、四人でジッと私を見ているその視線が感じられて。
ちょっと居心地が悪いというか、落ち着けなくて、顔も上げづらいw。
「しっかし、あのゾロにこんな可愛い彼女がいたとはなぁ…」
(、w)
ふいに聞こえたお父さんの声にふと顔を上げると、ギザギザと三つに尖った顎の下に手を当てて、マジマジと私を見ながら感心したような声で言うお父さんと目が合って。
「あ…えと…w。…ゾロさんからお聞きしてませんか…?w」
さっきの驚きようからしてMr.ブシドーはどうやらまだ私の事を家族の人達には言ってないみたいで。
しかもMr.ブシドーに彼女が出来るという事は、それ程までに驚愕を感じるような事らしい。
「あいつはそういう話はしねぇからなぁ。あいつはガキの頃からあんまり無駄話もしねぇし…」
「今までも彼女がいた事もねぇみてぇだしなぁ…。まぁ女友達は出来るタイプじゃねぇけど」
(え…)
弟さん(たしかウソップさんだったかしら)の言葉が少し気に止まった。
私はあの高校に入った時からルフィさんに『俺の仲間だ』と、サンジさんと一緒にMr.ブシドーを紹介されて。
それから一年と二学期の今まで、いつもMr.ブシドーともグループ仲間として過ごしてたのに。
(…………)
あまり無駄話はしないとさっきお父さんも言ってたし、Mr.ブシドーって学校での事や、私の事をこの人達には言ってないんだと解った。
「でもいかにも兄貴の彼女って子よね。清楚だし礼儀正しいし、兄貴が選ぶならこういう子って女の子を絵に描いたみたいよ、あんた♪」
「あ…そ、そうです…か?///」
言い始めは興味深そうに私を見ていた妹さん(たしかナミさん)が、言い終わりにはニッと笑って。
誉められてるみたいな感じに、照れくさくなって顔が熱くなる。
ナミさんは活発そうな明るそうな人に思えて、ウソップさんもお父さんお母さんもいい人そうだし、Mr.ブシドーの彼女としてじゃなくても、この人達とは仲良くやっていけそうな気がした。
「まぁゾロのヤツにも彼女が出来たんなら安心したぜ。なんせもう19だってのに女のニオイもさせねぇし、興味もなさげだったからな。もしかして野郎に興味があるんじゃねぇかと内心訝しんでたんだ。だがちゃんと女の子を選んで、あいつもやっと男として一人前になった事だし、いや良かった良かった。がはははは!!」
(…………。、)
「お、帰ってきたか」
豪快に笑うお父さんを見てると玄関の開く音がして、振り向くと、玄関にMr.ブシドーがいた。
「…………」
「おかえりなさい、ゾロ」
「よう兄貴。久し振りだな」
真っ直ぐこの居間に歩いてきて部屋に入ってきたMr.ブシドーにお母さんとウソップさんが声を掛けても、Mr.ブシドーは返事を返さずに。
「いよう、ゾロ。おめぇこんな可愛い彼女が出来たってのに黙ってるなんざ水くせぇじゃねぇか♪」
「随分可愛い子捕まえたじゃない、兄貴♪。この制服だから同じ学校の子でしょ?♪」
「おいビビ、ほんとに兄貴でいいのか?。19だってのにまだ高2で留まってるような頭だぜ?」
「────」
「あw、Mr.ブシドーw」
家族の人達の言葉にも一言も返さないMr.ブシドーに腕を掴まれて。
「あっw、ちょっw」
ちょっと力ずくで引き立たされて、そのまま連れていこうとしているMr.ブシドーに、慌てて鞄を掴んだ。
「すっすみませんっw、お邪魔しましたっw」
腕を引かれたまま居間を出て、そのまま玄関に一直線に歩いていくMr.ブシドーに、もう家を出るんだと思って、焦りながら振り向いて家族の人達に挨拶をした。
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