─学園ラブ─

□バレンタイン
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「…………」
「…………w」
Mr.ブシドーが靴箱を開けた瞬間、中から流れ落ちた、ラッピングされた板状の箱の数々。
今日はバレンタインデー。
去年もこの光景を見たけど、Mr.ブシドーはもう慣れてるらしくなんのリアクションもないまま、その流れ落ちたチョコレートと、靴箱にまだギッシリ詰まってるチョコレートを全部数を数えてから、ルフィさんの靴箱に移した。
(…………)
その去年も見た行動を見ながら、もしかしたら私からもチョコレートいらないかもと思った。
鞄の中には一応チョコレートが入ってる。
デパートで一時間も吟味して、選んだチョコレート。
でも、Mr.ブシドーは去年も今年も、こうして貰ったチョコレートを全部ルフィさんにあげてたから、もしかしたらチョコレート好きじゃないから貰うの迷惑なのかもしれないと思った。
昼休み、いつものように、屋上でルフィさん、サンジさんともお昼を食べる。
「はい、ルフィさん、サンジさん。いつもお世話になってるから今年はチョコレート」
去年渡したのはキャンディで、でも今年は初めてチョコを渡してみた。
「いやっほう!。サンキュービビ!。今日はいい日だよな!、ゾロ!、サンジ!。去年もだったけど、今年も靴箱にギッシリチョコレート入ってて、今年はビビからももらえてよ!♪」
その靴箱のチョコレートは元々はMr.ブシドーが貰ったものなんだけど、ルフィさんは女の子からチョコレートを貰えるって事より、チョコレートがいっぱい食べられる事が嬉しいみたいで。
「ようマリモ。お前は今年いくつ貰ったよ。てめぇみてぇな悪人面にチョコレートやろうなんて物好きな女の子がいる事は信じられねぇが、それでも現実だからな」
「38だ。今年は勝っただろ」
Mr.ブシドーがチョコレートを数えるのはこの為。
サンジさんと数を競う為に、Mr.ブシドーはわざわざ数を数えている。
「てめぇが俺に勝てる訳ねぇだろうが、ああ?。だが今年もてめぇと同じかよ。ちっ、胸くそ悪ぃ」
気に入らなさそうに煙草をふかしたサンジさんが、今私があげたチョコレートを顔の前に持ち上げた。
「いや、今年はビビちゃんからも貰ったからな。義理チョコとはいえカウントはカウントだ。悪ぃなマリモ。今年は俺の勝ちだ」
(う…w)
ほんとはMr.ブシドーにもチョコレートは買ってあるし、だからやっぱり同数で引き分けなんだけど、それを今は言えない。
だってMr.ブシドーのは本命チョコだから、義理チョコのサンジさんとルフィさんには悪いし(ルフィさんはそんな事気にしなさそうだけど)、それに本命チョコをいくら気心の知れたサンジさんとルフィさんの前だからといっても、その前で渡すのは恥ずかしい//。
Mr.ブシドーも飴は食べてもチョコは好きじゃないみたいだから喜んでくれるか解らないし、私とMr.ブシドーが付き合ってるのはまだサンジさんとルフィさんにも内緒だから、余計に渡せない。
「てか、なんでビビちゃん、マリモにはチョコねぇんだい?。こいつ、見た目は甘いもん受け付けなさそうだが、結構平気なの知ってるだろ?。チョコレートも食えるんだぜ?」
「え…?。あ、そうなんだ…。あ、じ、じゃあ来年はMr.ブシドーの分も用意しとくわねっ?w⊃⊃」
Mr.ブシドーがチョコを食べられるとサンジさんの言葉で知って、買ったチョコが無駄にならなくて済んだ事に安心した。
そして一人貰えない事に不満だろうMr.ブシドーへの自尊心のフォローを入れた。
「…………。いらねぇよ別に。くだらねぇ」
(う…w)
この顔は気に入らない顔。
サンジさんに負けた事への怒りの顔とは違う、自分にはチョコレートがない、しかも彼女の私からチョコレートを貰ってない事を拗ねてる顔。
無愛想に言うその態度と顔つきは、Mr.ブシドーと付き合ってから知った、Mr.ブシドーの子供っぽい部分で。
無表情で眉の角度だけが上がるその顔で、Mr.ブシドーが拗ねてるのが解るw。
(…………)
ルフィさん、サンジさんは解ってないみたいだけど、私には見せる拗ねた顔つき。
そのMr.ブシドーの顔は、拗ねても怒ってもない普段の状態からでもちょっと強面で、デートで街を歩いてても、道行く人が避けて通る程の天然不良顔。
でもMr.ブシドーはこれでもモテる。
強面な顔だから女の子達も近付いたりはしないけど、遠くから見てるのを何度も見たし、あのチョコレートの数からも、どれだけ人気があるか解る。
それだけモテるのに、その中から選ばずに、私を選んだ事に、どうしてだろうと思う気持ちと、それだけモテる彼氏を持ててる事にちょっと満更でもない気持ちにもなる。
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