─SandLandPrincess─PureLove─携帯彼女─

□purelove
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─出会い─

「きゃっ!!w」
「んっ」
道に迷ってたおばあさんを家まで送っていって、学校に遅刻しそうで慌てて走って角を曲がったら。
目の前にいた男の人に思いきり当たって、思わず声の出た私と同時にその人も少し声を出した。
「ごっごめんなさいっw⊃⊃。お怪我ありませ…ん──」
弾みで二、三歩後ろへ後戻りしたくらい勢いよくぶつかって、私がかなり痛かったから、その人も痛かっただろうと慌てて謝りながら私より一つ頭高いその人の顔を見上げて。
言葉が止まった。
あまりの強面なその人の顔に。
「────」
目つきも怖いけど、緑の短髪と耳の三つ連なったピアスがその顔つきの怖さを引き立てていて、咄嗟に頭に"私と同じ世界に住んでる人じゃない"と、普通の生活を送ってる人には到底見えないその男の人を見上げたまま、言葉を失って。
(〜〜〜〜www。はっ!w)
無意識で後ずさってしまっていた事に気付いて、睨んでいるようなその目を見ながらしまったwと更にまずさを思った。
「すっ、すいませんっ!!w⊃⊃、あのっ!!w⊃⊃、私急いでいてっ!!w⊃⊃。本当にすいませんw⊃⊃」
なんだか、というか完全に怒ってるんだろうその眉のつり上がった男の人に、誠心誠意謝れば許してもらえる、むしろ許してくれる事を全力で願って頭を下げてお詫びした。
(〜〜〜〜っっw⊃⊃、!!w)
強く目を瞑って、どうか許してくれる事を願いながら頭を下げ続けていると、じゃりっと靴が地面を踏む音がして。
向かってくる!?wと、咄嗟に目を開けたら、視界に入ってる数歩分前に立つ男の人の右足が一歩出ていて。
更に左足が動いた。
(どっw⊃⊃、どうしようっw⊃⊃、どうしようっw⊃⊃。え…?w)
なにかされるw⊃⊃と、頭の中でどうしたらいいかパニックになっていると、男の人の足は私を避けて進んで、私の横で足が止まった。
(…………w。あっ!w⊃⊃)
頭を下げたままそれを見てると、ふいにそこで男の人が腰を曲げて屈んで。
地面に手を伸ばしているその手の先には私の学生証が落ちていた。
(ぶつかった拍子に落ちたんだw⊃⊃)
拾わなきゃという気持ちが出て頭を上げた時には既に男の人の手に私の学生証は拾われて。
私の横で、その人が私の学生証を見ている。
(どうしようっw⊃⊃、どうしようっw⊃⊃)
また頭がパニックになる。
男の人はジッと、その視線は私の名前を見ているらしくて。
(名前を知られたw⊃⊃)
その事に動揺でますますパニックになる。
(どうしようっw⊃⊃)
もしかして名前を覚えられて、その名前で家の場所まで調べられて、毎日因縁付けに来られたりするんじゃw⊃⊃。
または学生証を人質に恐喝してくるんじゃw⊃⊃。
そんな考えが頭の中を駆け巡って、恐怖とパニックに泣きそうな気分になって。
「ぁ…あの…っ⊃⊃」
怖さと動揺に出した声は喉に引っかかって出しづらくて。
出た声は涙声掛かってて、ちょっと震えてて。
男の人が私を見てきた。
(ひぃぃんw⊃⊃)
上から向けられる目は鋭くて冷たく見えて、怖さにほんとに泣きたくなって。
「ほれ」
(…え……)
ほんとにちょっと涙ぐみながら怯えていると、男の人が私に学生証を向けてきた。
「…おめぇは怪我してねぇのか」
(え……)
次には無表情のままながらも私の怪我の有無を訊いてきた事に、少し驚いた。
「はっ、はいっ!w⊃⊃。私はなんともっ!w⊃⊃」
ちゃんと返事しないと怖い目に合いそうな気がして、その差し出されたままの学生証を受け取りながら、精一杯なんでもない事を伝えた。
「…ならいい」
(…………)
変わらない表情。
でも言ってきた言葉は納得した言葉で。
まるで、何もなかった事に安堵しているようなその返してきた言葉に、意外さのようなものを感じて呆然として。
「悪かったな。おめぇもこれからは気ぃ付けろよ」
「え……。あっ、はいっw⊃⊃」
因縁付けられる訳でもなく、静かな、というか興味のなさそうな少し冷めた声ながらもお詫びと、気遣いの言葉という意外な言葉を言って、足を踏み出した男の人。
その歩いていく緑の短髪の人の、鍛えてるのか随分広い背中を見ながら、何もされなかった事に安堵しながらも、少し気が抜けたような気分を意識しながら、その遠ざかって男の人を眺めた。
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