─緑猫─

□ハンドミキサー※
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「Mr.ブシドー、今日はケーキ作るからね∨」
「んあ…」
やっと決めて、初めてハンドミキサーを買った。
今まで生クリームも自分で混ぜてたけど、ちょっとハンドミキサーの手軽さも気になってはいて。
だから、試しに一番安いのを買ってみた。
「♪」
初めて使ってみるハンドミキサーにちょっとワクワクしながら、どれだけ早くクリームが固まるんだろうと、期待と楽しみを胸にケーキ作りの用意をする。
生クリームを入れたボールを、氷水を入れたボールに重ねて、ハンドミキサーのスイッチを入れてみた。
「わぁ、すごい!」
いきなりからすごい泡立ち。
そしてものの数分で出来上がった生クリーム。
今まで時間を掛けて混ぜてたのは何だったのかと言うくらいの手早さと便利さ。
「すごいっ。これならメレンゲも簡単に作れるっ∨」
ちょっと固さを見てみようとハンドミキサーを上げて。
「────!!!。ああああっ!!!w」
起こった現状に思わず叫んで、慌ててハンドミキサーのスイッチを切った。
「……やっちゃった……w」
ミキサーを回したまま上げちゃって、辺りに飛び散った生クリーム。
当然の事と言えば当然の事でw。
でも初めて使ったから、ついやってしまったw。
「…何やってんだ」
「あ…、Mr.ブシドー…w」
上げた声に気になったのか、いつの間にか後ろにいて声を掛けてきたMr.ブシドーを振り向くと、
「…………」
Mr.ブシドーの目は私の顔、そして辺りに撒き散らばった生クリームへと視線だけが動いて。
「…………」
「…………w」
また私に目が戻ってきたその顔は、無表情でも呆れてるw。
「……ん、ひゃ…」
その呆れてる顔がまた無表情なだけになったと思ったら近付いてきた顔。
そして頬を舐められて、つい声が出た。
「…甘ぇ」
頬にも生クリームが飛んでたみたいで、ぺろりと舌なめずりして一言言ったMr.ブシドーが、今度は私の口をぺろりと舐めて。
「ん……」
そのまま合わさってきた唇を受け止めた。
(甘い……)
口に入ってきた舌を受け入れながら、その舌に残る生クリームの甘みを感じた。
「ん……」
服の中に入ってきた手に、目を開けて、目の前のMr.ブシドーから床へと視線をずらす。
床に撒き散らかる生クリーム。
片付けたいけど今はこのまましたいから。
久し振りのMr.ブシドーとのスキンシップがしたいから。
汚れた床は気になるけど、視線を戻して目を瞑った。


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