原作サイド─四年後─

□衣住
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「Mr.ブシドー」
「ん…。?」
あいつらを見送った後、宮殿の主賓を招く部屋に通され、出て行ったビビを窓からの景色を見ながら待っていると、後ろからビビの呼び声が聞こえて。
振り向くと、両手に乗せるみてぇに布を持っているビビと、テラコッタさんも立っていた。
「…………」
近付いてきたビビが差し出してきたのは、見覚えのある服。
俺が四年前このアラバスタで初めて着、アラバスタに戻るまで大事に仕舞っていた、そして土産話と共に返した黒の服。
「ちょっとデザインも変えて、今のMr.ブシドーのサイズに合うように仕立て直したの。その服が気に入ってるのなら構わないけど…」
「…いいや、構わねぇ。服に拘りなんざねぇからよ」
俺が今着ている服を見ながら言ったビビに返し、ビビの差し出す服を受け取った。
「これも着ておくれ」
(、)
その服を見ていると聞こえたテラコッタさんの声に横を向くと、同時にビビが場を空けて、そこへテラコッタさんが歩いてきて足を止めた。
「ビビ様に聞いたよ。あんた船を降りてこのアラバスタとビビ様を護ってくれるんだってね。そんなあんたに旦那や私、チャカやペルからのささやかな贈り物だよ」
テラコッタさんから差し渡されたのはこの地方独特の柄つきの布で作られた羽織と腰帯、そして肩掛け用の飾り布だった。
「……ああ。ならありがたく受け取っておく」
それを受け取ると、着替える為にと二人が出て行って、着ている服を脱いで、渡された服に袖を通す。

「よかった。サイズ丁度みたいね」
「ああ。本当によく似合って、まさにアラバスタの用心棒って姿だよ」
着替え終わって呼ぶと、俺を見たビビが安堵し、その横で腰に手を当て頷いて納得しているテラコッタさん。
その二人に、手に持った脱いだ服をちぃと差し出す。
「この服はどこに捨てりゃいい。解らねぇから処分しといてくれ」
「!。ダメよ捨てるなんて!!」
「、。もう着ねぇ服だぜ?」
言った俺に声を荒げながら、俺の手から奪うみてぇに服を取り上げたビビの言動に首を傾げると、
「着なくても大切な思い出の服なのよ!?。この服はあなたが鷹の目を倒した時に着てた服なんでしょ!?。だったら尚更置いておかなきゃ!」
「………。…ああ。そうだったな」
真剣な顔で返してきたビビの言葉に、反対する理由もねぇから、それに同意した。
「そうよっ。ちゃんと洗って仕舞っておかないと」
大事そうに胸に抱き込んだビビが部屋から出て行って、部屋にはテラコッタさんと二人だけになった。
「四年前、あんたらが着てた服もちゃんと置いてあるんだよ?」
「、」
せっかちなビビが出て行った後のドアの方を見ていると、同じようにドアの方を見ていたテラコッタさんからの声に気が向いて。
テラコッタさんに顔を向けると、テラコッタさんも俺に顔を向けてきた。
「みんなが着ていた服だって。この国を取り戻してくれた英雄達が着ていた、私の大切な仲間が着ていた大事な服だってね。アルバーナのあちこちで見付かった服も、あんたやルフィくんの着ていた服もちゃんと洗ってから修繕して置いてあるんだよ」
(………。…たく…)
テラコッタさんの話を聞いて、ちぃと呆れとあいつらしさが見えて、笑いが湧いた。
ルフィのはともかく、俺のあの時着ていたシャツは血まみれで。
その上ボロボロだったってのに、そんな服を直した上に置いてあるなんざ。
「、」
また近付いてきた足音。
戻ってきたらしいビビに、なら考えていた事を言おうと、ビビがドアを開くのを待った。
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