原作サイドパラレル─真章─

□コンディショナー
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「濯がなくていいコンディショナー?」
「そ∨。買い物してたら見つけたから、試しに買ってきたの」
女部屋で、マリモのうるせぇいびきを聞きながらビビちゃんに料理の講習をしていると、ウソップと買いもんに行っていたナミさんが帰ってきて、ビビちゃんにヘアワックスの容器に似た容器を渡した。
「あんたの髪が今よりもっとサラフワになったら、ゾロの奴益々惚れ込んじゃうわよ♪」
「もうっ//w、からかわないでよナミさんっ//w」
(……ちっ#)
ナミさんとビビちゃんの、いかにも十代のレディーの会話に癒やされてぇ気分はあるが、ナミさんの言った言葉には腹立ちしか湧かねぇ。
あのクソマリモの野郎、ビビちゃんを狙ってやがったばかりか、今はそのビビちゃんを手に入れてやがって。
クソマリモの分際で、19年間無機質の筋トレ器具が恋人だった野郎が、いきなり有機物の人間のレディーに目を付けやがったばかりか、しかもいきなり一国のプリンセスっつうトップレディーなんて、底辺マリモの身に余る程のレディーをものにしやがって。
バーベルの扱いは解っていても、レディー、しかも恋人の扱いを知ってやがるのか定かじゃねぇあんな脳筋バカマリモにビビちゃんみてぇなレディーは勿体ねぇし、正直、あんな野郎と付き合っているビビちゃんに対する不安しか湧かねぇ。
湧かねぇが…、ビビちゃんがその脳筋バカマリモを選んだんだから…仕方ねぇ。
それに、…他の妙な野郎がビビちゃんとくっつくよりゃ、認めるのは癪に障るがあのクソマリモの方がまだビビちゃんを任せられるし、今の所ビビちゃんも何事も無く笑っているから、俺も何も言えねぇ…、が…。
「────っっ!!!#」
ビビちゃんを手に入れてやがるってのに全く彼氏らしい事もしやがらねぇで、その、以前と全く変わらねぇ筋トレ、飲酒、昼寝の生活習慣で、今も壁に凭れてグースカ寝てやがるマリモに、ビビちゃんを手に入れてやがる怒りと羨望、そしてビビちゃんをほったらかしてやがる怒りの睨みを向けた。
「サンジくん、ちょっと手伝ってくれない?。みかんに肥料あげたいから」
「!!。はいは〜い∨、ナミさ〜ん∨∨∨。あなたの頼みなら何なりと∨∨∨」
愛しの女神に手伝いを任されて、クソマリモへの怒りも一瞬で吹っ飛んで、ナミさんの手伝いの要望に返事した。

「あ、私も手伝うわ?」
サンジさんに手伝いを頼んだナミさんに、私もコンディショナーを買ってきてくれたお礼にと、手伝う為に立ち上がろうとした。
「いいからいいから∨。あんたは早くそのコンデショナー試してみなさい。私も後で試してみるから∨」
「…そう?。じゃあ、うん。ありがとう、ナミさん」
でもナミさんは笑って私を止めて。
立ち上がったナミさんがサンジさんと出て行って、寝てるMr.ブシドーと二人の部屋の中、早速コンディショナーを使ってみる事にした。
「あ、いい匂い∨」
蓋を開けた瞬間から香ったリンゴみたいな匂いを吸い込んで、適量指に掬って、解いた髪にそれを付けて馴染ませてみる。
「…うわぁ…、ほんと、フワフワ∨」
ものの数分で、ちょっと濡れた感じになっていた髪も乾いて、いつもより手触りがよくなった髪に、ナミさんに見せに行こうと、コンディショナーをベッドに置いて部屋を出た。

「おーい、ナミ。服破れちまったから縫って……なんだ、いねぇのか。ん?」
なんだありゃ?。
?。
「なんだ?、こりゃ。食いもんでも入ってんのか?。…………。おー!、なんかリンゴみてぇないいにおいだな!。うめぇのかな?」
ちょっと味見してみるか♪。
「…ぶえっ!!、まっじ〜っ!!w。…なんだよこれ…w。食いもんじゃねぇのかぁ…?w。ん、なんか書いてあるな」
………コンデショナー?。
「なんだぁ?、コンデショナーって…。……ふむふむ…、なんだよ、髪の毛に付けるのかよ…。食いもんじゃねぇならいらねぇや」
"ポイッ"

「!。んあ…?」
頭になんか当たって、その感覚で目が覚めた。
「………?…。…なんだ……?……」
床に固めの音を立てて落ちたのは、なんかの容器みてぇで。
「………?…。…………」
まだ眠気の取れねぇまま、その容器を拾い上げて。
同時に頭に何か乗ってるみてぇな気がして、頭に手をやってみた。
「………、…なんだこりゃ……」
掌に広がり付くそりゃあなんかのクリームみてぇで。
リンゴみてぇなにおいはするが、やけにヌルついていて、食いもんにも見えねぇ。
「…………。…………。……ふわああぁあ…。…ん………」
眠気にぼぉっとしたまま、頭の濡れた感触を掌で適当に擦り広げて、また湧いてきた眠気にあくびかまして再度目を瞑った。

「「あははははっっ∨」」
甲板の上、フワフワサラサラと、いつも以上に艶めかしく柔らかく海風に髪を揺踊らせはしゃぐナミさんとビビちゃん。
そんな天使二人の向こう。
「…………」
春風にそよそよとさわめく芝生、或いは水にたゆたう毬藻のごとく、気持ち悪ぃ程、風が吹く度にさわめくマリモの頭。
「ふわ〜あぁぁ…」
昼飯食って今度は甲板で暢気に大あくびしてやがるマリモに、まさかこいつビビちゃんのコンディショナー使いやがったんじゃ…と訝しみが湧く。
「「…………w」」
何をトチ狂っての行動か、気でも狂ったんじゃねぇのかと、風に髪の毛をそよがせてやがる気持ち悪ぃマリモを、ウソップと目配せしながら凝視した。


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