原作サイドパラレル─真章─

□釣り
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「ゾーロー!!、釣りしよーぜ!!、釣りー!!」
「おう」
暇潰しにルフィからの釣りの誘いに乗り、ウソップから竿を受け取って、ルフィの横に腰を下ろす。
「何か釣れた?、ルフィさん」
皿拭きの手伝いが済んだのか、調理場から出てきたビビが俺達を後ろから覗き込んでルフィに問い掛け、
「まだだ。なあ、ビビもやろーぜ、釣り♪」
「竿も一本余ってるから。ほれ」
誘ったルフィに、ウソップも俺達の後ろに置いてあった予備の竿を掴んでビビの前に持ち上げた。
「………うんっ、そうねっ。じゃあやるっ」
反乱も片が付いて遊びを楽しむ余裕も出来たのか、そのウソップから竿を受け取ったビビが、場所をズレたウソップとルフィの間に腰を下ろした。
「ほれ」
「ありがとう、ルフィさん」
ルフィがミミズを釣り針に刺し、礼を言ったビビがそれを海に入れた。
「釣りなんてしたの、子供の頃以来だわ。でもあの時は木の棒に糸をくくりつけたオモチャみたいなものだったから一匹も釣れなくて…。今日は釣れるかしら」
楽しげに期待の笑みを浮かべながら糸の先を見るビビに、マジでこいつはどんな子供だったんだと、王女のクセに釣りをした事があるらしいビビに思う。
「…ん?」
「ん?」
「えっ、あっ、引いてるっ!」
「え、もう来たのか?」
ウソップがそう言って、三人でビビの糸の先を見ると、浮きが僅かに動いている。
「ひ、引いていいの!?w」
「慌てんなビビ!」
「魚の動きに逆らうな。糸を弛ませねぇようにだけ気を付けて、魚の抵抗が弱まるまで待て」
「解ったっw」
初めて掛かった魚の引きに焦るビビに助言したウソップと俺に返事し、真剣な顔で魚の動きに竿を動かすビビ。
それをルフィ、ウソップと共に見ていると、次第に動く魚の抵抗が緩まってきて。
「いいぜ、もう少しだ」
「ええっ」
「「いいぞビビ!!。今だ!!」」
「んんっ!」
ルフィとウソップの声にビビが力を込めて竿を引き、水飛沫と共に赤い魚が宙に跳んだ。
「やったあっ!!」
「うおおっ!!、釣れたぁっ!!」
「やったなぁ!!、ビビ!!」
「初めて釣れたにしちゃあ大物だ。やるじゃねぇか」
「えへへへっ/////」
釣れた魚を糸を持って眺めていたビビに感心の言葉を掛けると、照れ笑いしながら釣れた魚を手に持った。
「───あっ!」
「「「Σっあーーーーっ!!!」」」
魚の口から針を抜いた瞬間、大きく暴れた魚に、手を滑らせたビビの手から落ちた魚が、甲板の床でバウンドして海に落ちて。
「何やってんだ!!、ビビ!!#w。せっかく釣れのに!!#w」
「今日の晩飯なんだぞあれ!!#w。逃げちまったじゃねぇか!!#w」
「Σw。ごっごめんなさいっ!!w」
逃げた魚に、怒鳴ったルフィとウソップにビビがびびって詫びる。
別に故意に逃がした訳じゃねぇってのに、許容量の狭ぇルフィとウソップに呆れの目を向けていると、
「あ〜〜w。俺の晩飯ぃ〜〜w」
ルフィが柵から覗き込んで未練がましく魚が逃げていった海を見出した。
「ご、ごめんなさいっw⊃⊃。魚ってヌルヌルしてるし、急に暴れたからw⊃⊃」
「…気にすんな。別に故意に逃がした訳でもねぇ。また釣りゃあいいんだ。問題ねぇよ」
今は食いんにも不自由はねぇし、魚一匹逃がしたところでどうって事もねぇで。
二人に怒鳴られ焦るビビに言って、もういっぺんミミズをビビの釣り針に付ける。
「捕まえにいけばまだ間に合う!!。行くぞゾロ!!、ウソップ!!」
「「Σだーーーーっ!!!。バカ!!!w。待てルフィ!!!www」」
魚の事しか頭に無く、悪魔の実の見返りで水ん中じゃ何も出来なくなる事を忘れて海に飛び込もうとしたルフィを、ウソップと慌てて捕まえた。

「次は気を付けるんだぞビビ。もう逃がすなよ?」
「はい…w。ごめんなさい…w」
忠告したウソップに、ビビが気まずげに小さくなって返事をする。
(やれやれ…)
騒ぎも収まって、俺もまた腰落ち着けて釣りに専念する。
「「「「…………」」」」
だがそれっきり魚はさっぱり釣れねぇで、四本の釣糸にそれぞれ付いた浮きが空しく海面をたゆたうのを、四人でぼ〜っと眺めてるだけになっちまった。
「俺飽きた」
「ああそうだ。俺も火薬星の補充作っとかねぇと。ゾロ、ビビ、お前らどうする?」
「俺ァ別にやるこたねぇから、もうちぃと粘ってみる」
ルフィに続いて立ち上がったウソップを見上げながら言うと、
「私もせめて一匹だけでも釣るわ!!」
さっきの失敗を返上しようと意気込むビビも居残りを宣言した。
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