ボツ作品部屋

□スウィーツ改良版
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「どうぞ、ナミさん、ビビちゃん。今日は二人のレディーの為に特別スウィーツを作ってみました」
アホコックが気取りながら、雑談していたナミとビビの前にそれぞれ出来立ての焼き菓子を置いた。
「なんだ、俺にはねぇのか」
「てめぇに食わせるスウィーツなんざねぇ!!#。てめぇは魚でも釣ってそれ食ってろ!!#」
「ふん」
冗談で言った事にマジギレして返してきやがったクソコックにムカついて、腕を組み直して昼寝に入ろうと目を瞑った。
「ねぇサンジさんw、Mr.ブシドーにも…w」
その時俺を擁護するビビの声が聞こえたが、別に菓子は要らねぇから耳から意識を外す。
「ビビちゃんは気にする事ねぇんだぜ?。俺はナミさんとビビちゃん、二人のレディーの為にこれを作ったんだからな」
「でも…w。じゃあMr.ブシドーw、私の分を…w」
ビビが少し気まず気な声を出して、椅子から立ち上がったのか、椅子の足がカタッと音を立てた。
「要らねぇよ。女から食いもん取り上げられるか」
「なら半分にして…」
「要らねぇ」
「………w」
「ほっときなさい、ビビ。この二人のこんなやり取りしょっちゅうなんだから。今から慣れとかないと疲れちゃうわよ」
「でも…w」
ナミの説得にそれでも納得しねぇビビに、このまま居ればまだ気にされるし煩ぇと、快適な昼寝場所を求めて場所を移動した。

「あの…Mr.ブシドーw。…ちょっといいかしら…w」
「あ?」
俺が鍛錬しているのをずっと見ていたビビが、終わって汗を拭う俺に声を掛けてきた。
この船に乗り始めた頃とその以前のこいつはプライドの高そうな、目つきもキツい、だが変な女だった。
だが、てめぇがアラバスタの王女という事を明かし、自国の状況を話してからは人が変わったようにキツかった目付きは丸く変わり、顔付きが穏やかになった。
それだけ今まで気を張り詰めていたらしく、特別な積み荷として船に乗った今のこいつは王女らしい表情をしながらも、ナミやルフィ達とよく笑いあっている時がある。
だが、他の奴らとは気軽に話したりしているこいつだが、俺には滅多と話し掛けてきたりはして来なかった。
それが何を思ったのか声を掛けてきた今でさえ、少し緊張している面持ちで、肩にも力が入っているのが解る。
「なんだ。どうかしたのか」
「あ…、いえ、あの…w」
「なんだ、早く言え。自分から声掛けてきてて、何緊張してる」
別に咬み付きゃしねぇのに、必要以上に緊張しているビビに、俺にとってはごく普通に接してみた。
俺はてめぇの人相がかなり悪ぃのを自覚している。
黙って立ってるだけでも、特に女子供は近寄ってこねぇし、こそこそと遠巻きに逃げていく奴も多かった。
だからこいつが怯える理由も解ってるし、だが誰にびびられようが別に気にする事もねぇし、今更怯えられんのも気にはならねぇ。
「あ…w。ごめんなさい…w。その…昨日の事なんだけど…w」
「?。昨日?」
促してやってようやくおずおすとだが話を切り出したビビは、それでもあいつらに言うみてぇに軽い口振りでは話してこねぇで。
「ええ…w。昨日Mr.ブシドー、サンジさんが作ったお菓子食べたかったみたいだったのに、食べられなかったから…w」
(?。……ああ、あれか)
ビビの言葉にようやく昨日の昼頃あった出来事を思い出して。
「ありゃあただ言ってみただけだ。別に本気で食いたかった訳じゃねぇよ」
「え…、そうなの…?w」
俺の返した返事に、ちぃと拍子抜けしたみてぇな顔で返してきた。
「まぁ…味見に一口くらいは食ってもよかったがな」
「それって、やっぱり食べたかったんじゃ…w」
「ぐ…w、いや…w。…まぁ…、そりゃ多少はな…」
何だかんだ言ってもあのクソコックの料理の腕は俺も認めてるし、初めて見た菓子だったから興味が湧いて言ったわけで。
「…てか、それがどうしたんだw」
今更昨日の事をほじくり返してきたビビに訊くと、
「…昨日のお菓子、私に作らせて!?w」
「はあ?」
不意に俺の前で言い放ったビビの言葉に思わず驚いた。
「サンジさんみたいに上手くは出来ないとは思うけど、精一杯頑張るから!!⊃⊃」
「…………」
なんか菓子ぐらいの事でいつまでも拘って真剣になってるビビを見ていて、ふと、何かして気を紛らわしていてぇのか?と思った。
今は騒がしいあいつらは買い出しに出ていて居ねぇし、気晴らしの役が今船に居る俺にきたのかと。
「……まぁ…、作りてぇなら…」
どうせこの後はやるこたねぇし、暇つぶしがてら王女さんの気晴らしに付き合ってやるかと、服を着て台所についていった。
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