─夫婦─

□眠り姫
1ページ/1ページ

「ん」
居間で新聞読んでて、家ん中がやけに静かな事に気付いて。
「おい、ビビ。……ビビー?」
呼んでも返事がねぇ事に気になって、居間を出て、テレビのある部屋を覗いても居ねぇ。
「?」
出てったのかと思ってそのまま玄関見ても靴はあって。
続いて台所見ても居ねぇ。
「?。おーい、ビビー?」
二階か?と、階段上がりながら呼んでもやっぱり返事は返ってこねぇで、寝室のドアを開けてもやっぱり居ねぇ。
「ん」
ドアを閉めて、ベランダのある部屋の方を見っと、ドアが開いていた。
「なんだ。こんなとこに居たのか」
珍しく昼寝しているビビは、大型クッションにうもれて、気持ち良さそうに寝息を立てていて。
ベランダから当たる日の光の中で安らかな顔で眠るビビは、なんかどっかの国のお姫さんみてぇに見えた。
「…………」
起こしちまうのは勿体ねぇが、あんま無防備な顔が可愛くて。
なるべく起こさねぇように静かにビビの後ろに横になって、片腕で腰を抱き締めて背中に被さる。
日の当たる所で寝ているビビの体は温くて、シャツを通してじんわりと体に温さが伝わってきて。
それでも起きる事無くよく寝てるビビの頬に軽く口を当てる。
ほかりと温い頬に、数秒当てただけの口にも温さが残って。
(…眠り姫)
そんな事を思いながら、まだすやすやと寝息を立てるビビの温さを感じつつ、俺も寝るかと、その寝顔に誘われて目を瞑った。


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ