─原作サイド─

□許時
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俺はおめぇを許しちゃいねぇ。
おめぇはあいつを苦しめた。
鰐野郎の片棒を担ぎ、ヤツと共にあいつを苦しめ、あいつの懸命さを嘲笑っていたおめぇ。
そのおめぇのその嘲笑いを、見下していた言葉を、俺は一生忘れねぇ。
おめぇは俺達の仲間。
俺にとっても、おめぇはもう仲間。
だが、俺にとってはおめぇは敵。
仲間になっても、まだ完全に仲間だとは思っちゃいねぇ。
おめぇが俺にとっても完全に仲間になるのは、おめぇがあいつに詫びた時。
その時を見る為に、俺はここに来た。
仲間として助けに来たあいつらと共に。
ルフィは純粋におめぇを仲間として助けに来たんだろうが、だが俺はちぃと違う。
仲間として助けにきたと同時に、『敵』としてのおめぇを助けに来た。
あいつを苦しめた女として。
そして今、多少の同情はありながらも、更におめぇへの敵意識は深みを増している。
てめぇの国が滅びる苦しみを知っているおめぇ。
だってのに、鰐野郎に加担していた。
"生きる為に"、それは解る。
生きる為に、力を持つ悪に付き従うのは利口なやり方。
生きる為に悪事に手を染めてきた事も、国を取り戻す為に悪事に加担し、手を染めていたあいつも同じ、大事なもんを護る為にゃあ仕方ねぇ事。
綺麗事では生きてはいけねぇ。
時には手も汚さねぇと、大事なもんは護れねぇ。
だがおめぇは"歴史"を知りてぇが為にも。
国が滅ぼされる苦しみを、ツラさを知っていながら、鰐野郎に加担し。
そしてあいつを苦しめていた。
嘲笑っていた。
だから、俺はここに来た。
いつかあいつに詫びるおめぇを見る為に、詫びねぇのなら力ずくでも詫びさせる為に、俺はおめぇを助けにここに来た。
詫びの行為は、人間にしか出来ねぇ事。
詫びて全てが許される訳じゃねぇ。
だが、詫びるって事で、あいつを苦しめていたおめぇの罪は、俺の中でチャラになる。
『反省』をあいつに見せたその時が、おめぇが仲間になるその時。
俺にとっても完全な仲間になるのはその時。
だから護る。
何があってもおめぇを助ける。
絶対におめぇを死なせやしねぇ。
いつかあいつに詫びる、おめぇの姿を見る為に。


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