─原作サイド─

□対策
1ページ/2ページ

「…………」
考えている。
どうするか。
(…………)
ルフィとウソップが釣り上げた、胡散臭ぇ大男。
それが俺達の『敵』となっている、バロックワークスのトップエージェントの一人だと解ったのは、奴が船から降りた後のビビの思い出しでだった。
あいつは奴を知らなかったとは言え、迂闊にも俺とルフィ、ナミ、ウソップ、チョッパーと、五人が顔を奪われて。
悪用されりゃ俺達は同士討ち。
だから敵ならむしろ悪用してきて当然だ。
だから考えた。
どうするか。
『対策』を。
仲間だと解る方法。
一目で敵を欺け、だが俺達は仲間だと確認出来る方法。
(…………)
俺がここまで頭を使うのは初めてだ。
いつも直感と、その場の臨機の対応だけで生きてきた。
こんな、事前の作戦なんざ、考えた事もねぇ。
それをこうして考えているのは、俺達もやべぇから。
仲間同士での疑い合い、同士討ちは避けなけりゃならねぇ。
だが、その他の理由はもう一つ。
(…………)
「…ごめんなさい…⊃。また私のせいで…⊃」
「気にしないの。ゾロが今いい方法考えてるから大丈夫よ」
船首デッキで、ナミとウソップ、チョッパーに慰められながらもまだ僅かに気落ちするあいつ。
俺達が顔を奪われたのは、思い出せなかった自分の過失だと、またてめぇを責めて、謝って。
それでなくとも、あの野郎の顔の中に父親の顔があった事にショックを受けていたってのに。
また、てめぇ一人でてめぇを責めてやがる。
だから、いい方法を考えりゃあ、もうてめぇを責める事もやめる筈だ。
だから、考えている。
こうして、使い慣れねぇ頭を使って。
「、。…………」
それでもどうにもいい方法が思いつかねぇで、ふと見えたてめぇの両腕に残る無数の傷跡。
それが思い出させた。
あの時の事。
リトルガーデンでてめぇで切った足の傷に、船に戻ってからあいつがしてきた光景。
俺の傷を縫い、包帯を巻いていたあいつの姿。
(…………)
傷が出来りゃあ目に見える。
その上から包帯をすりゃあ、傷は見えねぇ。
だが中に傷はあり、包帯は外から見える。
仲間の証を、外の包帯じゃねぇ、中の傷にすりゃあ…。
(………助かったぜ…)
『対策』が確実に出来た。
これなら完璧だろう。
「おいお前ら!!。ちょっと集まれ!!」
あいつのおかげで考え付いた『対策』を実行する為に、船に散らばる全員を呼んだ。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ