─原作サイド─

□血
1ページ/1ページ

『だから必要ねぇって!w』
『駄目だしないと!!w』
(?w)
医療室の中から聞こえてくるMr.ブシドーとトニーくん、そしてホウ先生の声に、どうしたのかと医療室のドアを開けると、治療が終わったのか、上半身と頭に包帯を巻いたMr.ブシドーがベッドの上で座っていて。
そのMr.ブシドーを見下ろして人型になったトニーくんとホウ先生が何事かを説得していた。
「どうしたの?w。何があったの?、ナミさんw」
さっきまでは静かだったのに、ルフィさんの熱を冷やす為の水を入れ替えに行ってる間に起こってた喧騒に、治療を終えてソファーに座っているナミさんに訊くと、
「見てれば解るわ…。ほんと、うるさい男なんだから。あいつは」
呆れきったみたいに肩を竦ませたナミさんの答えに、そのMr.ブシドーとホウ先生とトニーくんの言い合いに意識を向けた。
「だから輸血なんざ必要ねぇよ!w。これくれぇ何でもねぇ!w」
「しないと駄目だって!!w。今ゾロの体の血は半分くらいしかないんだぞ!?w」
「そうですぞゾロくん!!w。何故そこまで輸血を拒まれる!?w。別に怖い事ではなく、ただ腕に針を刺すだけで、その胸の縫合に比べれば何でもない事ですぞ!!w」
「輸血?⊃」
Mr.ブシドーの声の中に聞いた言葉に、その後の会話を耳に入れながらナミさんに訊いた。
「あれでもあいつが一番重傷だからね。普通の人間ならとっくに……あっw。で、でも大丈夫よっw⊃⊃。ほらあの通り一応ピンピンしてるから、あいつw⊃⊃」
「…うん……」
(…………⊃)
私の気持ちを思って、一旦自分の口を手で塞いで言葉を止めて謝ったあと、続けてフォローしてきたナミさんに頷いてMr.ブシドーを見た。
そんな状態でもあれだけ動けていたMr.ブシドーのそれだけの強さと、そんな状態でもアラバスタの為に私と走っていてくれた嬉しさを感じながらも、でもそんな状態で動き回らせてしまった事に申し訳なさと、Mr.ブシドーの強さは知ってるけど、それでもそんなMr.ブシドーにでも大きすぎる傷への心配を思いながら、必死で輸血を拒むMr.ブシドーを見る。
「怖ぇ怖くねぇの問題じゃねぇ!!w。俺はそんなどこの誰のもんかも解らねぇ他人の血なんざ体に入れたくねぇんだよ!!w」
(…………)
ある意味Mr.ブシドーらしい異議だけど、命が危険かもしれない今の状態ではそんな事も言わせていられない。
でもそんな状態でもあれだけ大声を出せている事にMr.ブシドーの凄さを感じるのも事実で。
「なら仲間の血ならいいだろ!?。誰かF型の血液型はいないか!?」
「そういう問題じゃねぇ!!w。他人の血を入れるのが嫌だって──!?」
「ゾロ!?」
「Mr.ブシドー!?」
大声を上げるMr.ブシドーが急に驚いたみたいに目を見開いて言葉を止めて。
グラッと後ろに倒れ掛けた体を支える為に両手をついても、その腕にも力が入らないみたいにベッドに仰向けに倒れ込んだMr.ブシドーに私を含めたほぼ全員が声を上げた。
「みてみなされ!!w。貧血の状態で大声張り上げるからですぞ!!w。全く!!w、頭にもまともに血が回っとらん状態で、よくそれだけ意識があるものですわい!!w」
「片意地張ってねぇでさっさと輸血してもらえ、クソマリモ。気力に体がついていってねぇくせに我が儘言ってんじゃねぇよ」
焦るホウ先生とは対照的に、Mr.ブシドーのベッドの隣のベッドに横になってるサンジさんは冷静で。
少し呆れた声でMr.ブシドーを説得してきた。
「〜〜〜〜くそ…っw。この程度でへばりやがって…」
腹立たしそうに自分に対してそう言っているMr.ブシドーは悔しそうで。
頭に当てた片手で忌々しそうに短い髪の毛を握り締めた。
「じゃあ誰かF型の血液型は…」
「ルフィはF型だけどな」
隣のベッドに寝かされているルフィさんを見ながら言ったのは、Mr.ブシドーとルフィさんを挟んで、サンジさんとは逆側のベッドに寝かさているウソップさんで。
「まぁ今のルフィからは血はとれねぇよな…」
クロコダイルとの戦いとその時に受けた毒の為に、今は高熱が出て、こんな騒ぎの中でも目を覚まさないルフィさん。
「じゃあ私の血は…?。Mr.ブシドー」
だからルフィさんから血をとるのは無理だし、私もF型だから、私の血が使えるならと、Mr.ブシドーに言ってみた。
「……要らねぇ」
首を横に向けて私を見たMr.ブシドーが、ふいっと頭を向こうに向けながら言った言葉にやっぱりダメかと思った。
「なによゾロ。ありがたく貰っときなさいよ。ビビの血ならいいじゃない、仲間なんだから」
「せっかくのビビちゃんの厚意を無下にしやがるとはてめぇ…#」
「…………」
ナミさんと、サンジさんの言葉にも無言でいるMr.ブシドー。
「………。そいつだって血ぃ流してただろ」
「え…?」
(え……)
仰向けになったままどこか呟くように言ったMr.ブシドーに、私を含めたみんなの視線がMr.ブシドーに集まった。
「ただでさえそいつは男の俺より血の少ねぇ『女』だ。その上血ぃ流して減ってるような状態だってのに、血なんざ取れるかよ」
(…………)
確かに私は怪我をして血を流して。
みんなが流した血の量には遠く及ばないけど、確かに今の私の血の量は減っているだろう。
「構やぁしねぇ。鷹の目に斬られたあん時も輸血なんざしねぇで生きてたんだ。血なんざ飯食って寝てりゃまた増える」
「…ま、確かにそうね…」
「はっ…。お前もレディーの体の気遣いは出来てるじゃねぇか」
「…………」
(………)
サンジさんの茶化してるみたいな、でも珍しくMr.ブシドーに向けてる誉め言葉に、Mr.ブシドーは黙っていて。
静かになった部屋の中、でもまたすぐにいつもと同じ、みんなそれぞれの声や動きの音が起こり始めた。


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ