─原作サイド─

□誓い
1ページ/2ページ

宮殿に滞在三日目。
ビビは未だ目を覚まさねぇルフィの看護に付きっきりで。
毎日と変わらねぇ時間。
船の上に居た時と全く変わらねぇ、いつも通りの時間。
俺達と共にあいつが居る、だが近いうちに終わる時間。

ルフィの目が覚めた。
飯も食い、風呂にも入り、そして旅支度も整えた。
海軍が俺達の事を嗅ぎ回り、このアラバスタを疑っている今、これ以上の長居は、この国に、王に、そしてビビに更に迷惑を掛ける事になる。
発つなら早いに越した事はねぇ。
そこへ来た、バロックワークス残党の一人、物真似野郎からの連絡。
それで出立は決まった。
「行くか」
座り心地のいいベッドから腰を上げ、荷物を背負う。
「……ねぇ、みんな…」
ふいにぽつりと聞こえた声。
「私は…どうしたらいい…?」
俯くビビから発せられた言葉。
(……………)
初めて訊いてきた。
決めてるんだと、国に残ると決めてるんだと。
だから何も言わず、訊かねぇんだと思ってた。
だが、やはり迷っていたらしい。
決めかねているらしい。
「…………」
誰も返事をしねぇ。
出来ねぇ。
不用意に返事は出来ねぇ。
「ねぇ……みんな……」
俯くビビ。
声を発して、その顔が上がった。
向いた目は全員に流れ、最後に俺に向けられて。
一瞬目が合う。
訴える目。
その目は、どうすればいいか、そしてどうして欲しいのか訊いていた。
その顔がまた俯いた。
「…私は……っ、どうしたら………っ」
肩が震える。
声を詰まらせ。
だが訊かねぇ。
誰か一人だけに名指ししねぇ。
「…………」
ナミの顔が動いた。
俺を見ている。
それに目を向けると、どうする?と、その目は訊いていた。
「…………」
その目に答えなかった。
答えられねぇ。
全員の目が俺に向き、ナミが連中へと顔を向け、全員が困惑と沈んだ顔で互いの顔を見る。
俺が、俺達がここで答えりゃあ、あいつが揺れるから。
どうするのかを決めるのは、俺達じゃねぇ。
あくまでビビだ。
俺達についてくるのか、国に残るのか。
それを決めるのは、ビビだ。
「…………」
答えず、答えられず、目をビビに向けた時、視界の端でナミの顔もビビへと動いた。

「いい?、ビビ」
ナミが出した提案。
ビビにしてみりゃ条件。
明日の昼十二時に一度だけ船を港に着ける。
それに乗るか乗らねぇか。
無理に誘えねぇのは、あいつらも同じ。
ルフィ以外は、こいつの立場を弁えている。
余計な荷物一人と共に乗り込んだ船。
その船が沿岸を離れた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ