─学園ラブ─

□鬼ごっこ
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「十!!」
(………。来たか)
サンジをルフィが、ナミをウソップが追い、ビビは一直線に俺を追ってくる。
『絶対に捕まえてやる』
そんな顔で。
「………へっ」
こりゃあ勝負。
だからたとえあいつにでも捕まる訳にゃあいかねぇ。
俺にどこまでついてこれるか、それをじっくり見せてもらう事にした。

(っ)
挑発されてる。
Mr.ブシドーの足なら、私より早く走れる筈なのに。
付かず離れずの距離を保って。
(────)
スピードを上げてみる。
同じだけ上げた。
やっぱり遊んでる。
振り返る横顔が笑ってる。
からかって楽しんでる、皮肉った笑み。
(〜〜〜見てなさいよ?、Mr.ブシドー)
全力を出してみる。
Mr.ブシドーも全力。
(あ、距離が)
縮まった。
届く――。
もう少し―――。
(──あっ!?)
急に離れた。
瞬間見えた、"ニヤリ"って笑み。
(〜〜〜〜#)
ひどい!!、からかってる!!。
「はぁ…っ、はぁ…っ」
…ダメだ。
息が苦しくなってきた。
体力でも敵わない。
Mr.ブシドーはまだ息一つ乱してない。
あれだけ全力疾走したのに。
(……悔しい)
捕まえたいのに。
これでも足の速さは女子で学年トップなんだから、走りで負けたくないのに。
距離は縮まらない。
今残りの体力を使ってスピードを上げても、今のMr.ブシドーの余裕なら、きっと同じだけスピードを上げて逃げるだろう。
どうすれば捕まえられるだろう。
「はあっ、はあっ」
もうダメw。
息が上がって、これ以上走れないw。
ちょっと休憩…w。
「はあっ、はあっ、はあっ」
悔しい。
(…………?)
Mr.ブシドーが止まった。
あ、何?、その余裕の笑み。
もう終わりか?って顔。
(────)
悔しい。
バカにされてる。
(───あ)
そうだ。

(?。なんだ?)
急にビビがしゃがみ込んだ。
(………?……)
なんかやけに苦しそうに、服の胸元を掴んで、息を切らしていて。
「…ビビ…?」
なんか様子がおかしい。
「おい、どうした?」
なんか随分苦しそうで。
「おいビビ…w。どうしたw」
「ビビちゃんっ?。どうしたビビちゃんっ!!」
ルフィから逃げていたサンジと二人で走り寄って、息苦しげにしゃがみ込むビビを覗き込む。
「おいビビ!w」
「ビビちゃん大丈夫かっ!!?⊃⊃」
「ダメよ二人共!!w」
「あ?」
「え?」
「捕まえた∨」
「………。Σ!!!w」
ナミの声にサンジと振り向いた瞬間、手首に感じた掴んできた手の感触。
同時に聞こえたビビの声。
そのビビに顔を向けて、しゃがんだまま俺達を見上げて笑っているビビの両手が、それぞれ俺とサンジの手首を掴んでいるのが目に入って。
ようやくてめぇが捕まっている事に気付いた。
「……やられた…w」
(…ああ……w)
観念したみてぇな声で呟いたサンジの言葉に、思わず同意した。
やられたw。
まんまと罠に引っ掛かった。
女一人に、男が二人して騙された…w。
「二人確保ーっ!!」
「おー!!、でかしたぞビビ!!」
俺とサンジの手首を掴んだまま、すっくと立ち上がって意気揚々としたビビの報告に、ルフィが応える。
「は〜ぁw。必死に逃げてた私の努力は完全に無駄じゃない…w」
「悪ぃ…ナミさん…w」
呆れと疲れを含んで吐いたナミの溜め息混じりの落胆の声に、サンジが詫びる。
「…………」
が、ちぃと俺は納得出来ねぇ。
「…やり方が卑怯じゃねぇか?」
具合の悪さを装って、人の心配を利用して。
いくらなんでもやり口が汚ねぇ。
「だって勝負だもの」
「…………。……はっ」
俺の不満に悪びれもしねぇで返ってきたビビの言葉に、そうだったなと納得した。
こりゃあ勝負だった。
なら納得だ。
騙しても、騙された方が悪ぃ。
「よーし!、じゃあまた俺達が逃げる番だな!。行くぞ!、ビビ!、ウソップ!」
「まだやんのかよ!?w」
「当たり前だ!。俺はまだ一人も捕まえてねぇ!。つまらねぇだろうが!」
「「…………w」」
ガキみてぇな都合で続行しようと言ってきやがるルフィに、またサンジと目を見合わせて。
「「…は〜ぁ…www」」
なんでこんなバカガキのグループに入っちまったのか、今更ながらに全身から気力が抜けた…。

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