─不良と優等生─

□結婚式
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「ビビをよろしく頼む。親の私が言うのもなんだが非の打ち所のない自慢の娘だ。大事にしてやってくれ」
「――――、ありがとうございます!!!」
「パパ…、ありがとう……」
再度頭を下げた横で、ビビの頭を下げる衣擦れの音がした。
「ち…w。くそっ!w」
「!」
頭を上げるとビビも頭を上げて、その時聞こえた声に振り向くと、新郎の男がその場から走り去ろうとしているところで。
「待ちなさい!!」
社長が声を出したが、男は足を止める事をしねぇまま、逃げるみてぇに教会を出て行った。
「…あの男…、まさかビビ様を利用しようとしていたとは…」
「…彼なら私の跡を継ぐに相応しいと思っていたのだが…。どうやら私の見込み違いだったか…」
(…………)
耳に入ってくる社長と部下の男の言葉を聞きながら、男が出て行った扉を見る。
あんな野郎にビビを渡そうとしていた。
もしあの時ビビが拒否しなけりゃ、ビビはあの野郎に利用されたまま…。
「…………」
「、…ゾロさん…?」
ビビに顔を向けると、俺達と同じく扉を見ていたビビが顔を向けてきた。
「…………」
改めて見るビビのウェディングドレス姿は、マジで別人みてぇに見えて、
「…………」
今更ながら、こんなにきれいな奴だった事を改めて見直しながら、こいつの幸せの為にも、マジでこれが本物の結婚式にならねぇで良かったと心底思えた。

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