─学園ラブ─

□家族
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「……たく…」
「………ごめんなさい…w」
Mr.ブシドーのアパートへ帰るんだろう道を歩きながらぼそっと聞こえた声に、機嫌を損ねさせたと思って謝った。
家族の人に挨拶したらすぐに帰れと言われたのに、帰れずに留まっていた事を怒ってるんだと思った。
私と付き合ってる事も、恋人がいる事も言ってなかったみたいだし、もしかして彼女が出来た事で冷やかされるのが嫌だったんじゃなかったのかと考えて。
現にさっきのお父さんとナミさんの言い方は冷やかしや茶化しのそれに似たものだったし、それを受けるのがイヤだったから顔だけ見せたらすぐ帰れと言ったんじゃないかと、Mr.ブシドーの性格から考えてそう思った。
「…おめぇに言ったんじゃねぇよ…」
「、」
ちょっと悪い事をした気になって俯きながら歩いてると、横からMr.ブシドーの声がした。
顔を上げて見たら、Mr.ブシドーの顔は前を向いたままだった。
「…何が楽しいんだか、親父もナミもすぐに俺の身の回りの事を詮索してきやがる。全く…、人の事なんだからほっときゃいいってのによ」
「……それはMr.ブシドーの事考えてくれてるからよ」
「…………」
片手に持ってた鞄を体の前で両手で持って、Mr.ブシドーを見上げたまま言うと、Mr.ブシドーの顔が向いてきた。
人に深く立ち入られるのを嫌うMr.ブシドー。
それは家族でもそうみたいで。
でも。
「家族だもの。お父さんなんて特に心配してたわよ?。Mr.ブシドーに彼女がいなかった事とか。お母さんやウソップさんもナミさんも、あんな風だったけど、ちゃんとMr.ブシドーの事気に掛けてくれてるのよ」
「…………、…そりゃ解ってる」
言ったら、本当に解ってるみたいに穏やかな声が返ってきた。
「だが根掘り葉掘り訊かれるのは好きじゃねぇんだよ…w。お袋とウソップはそうでもねぇが、親父とナミは一つ言やぁ、十どころか百まで聞き出そうとしてくるからよ…w」
「…うん…w、そんな感じはする…w」
困惑した声で頭を掻くMr.ブシドーの言葉につい同意しちゃった程、さっきの短い時間の中で早くもお父さんとナミさんの性格をなんだか掴めてしまって。
「…でもごめんね…?w。すぐ帰れって言われたのに…w」
今こんな困惑の雰囲気になってるのは、私がMr.ブシドーの言った事を出来なかった事が原因で。
「………まぁ仕方ねぇよ。大体は予想出来てたからな」
「え…?」
だから謝ったら、こっちを見たままだったMr.ブシドーが顔を前に向けた。
「おめぇが他人の家で家主を無視出来る筈ねぇし、うちも客が来たら接待するのも当然だからな」
「……うん」
ちゃんと解ってくれてる、家族の人達の事も解ってるMr.ブシドーに、柔らかい気持ちになりながら返事をした。
「まぁ一応今日の目的はおめぇの顔見せだったからよ。あれで親父達も納得するだろ」
「…もしかして何か言われたの?」
「…家に帰りゃあいつも言われてた。女はいねぇのか、女友達だけでも出来てねぇのかってよ」
「…………w」
それだけ訊かれてたみたいなのに私の事を言わなかったのもどういう事なんだろうとは思うw。
「でもMr.ブシドーの家の人達、いい人達ね。あんまり性格とか、Mr.ブシドーとウソップさんとナミさんも顔とか似てないけど」
「………まぁな…」
「?」
家族の人達の顔を思い出しながら言った事に返ってきた返事はなんだか曖昧な感じがして。
でも前を見たままのMr.ブシドーに、気のせいかと思って。
(…………)
これでMr.ブシドーの家族の人達にも公認になったし、なんだか改めてちゃんとMr.ブシドーの彼女になった気分になった。

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