─学園ラブ─

□バレンタイン
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(…ん〜……//w)
チョコレートを渡すタイミングが掴めない。
ただでさえバレンタインチョコなんて今までパパやイガラム、チャカやペルに感謝のチョコを渡したくらいしかなくて。
今日初めて義理チョコっていうのをルフィさんとサンジさんには渡したけど、男の人に渡したとはいえ仲間だからなんの気構えもなく渡せたけど。
でも好きなMr.ブシドーにはいつ渡していいか、なんて言って渡していいか解らないw。
昼休みの話で、私はMr.ブシドーにはチョコを用意してないみたいな事になっちゃったし、だから余計に言い出しづらいw。
(…………w)
横目に見上げるMr.ブシドー。
まだ拗ねてる。
内心だけでむくれてる様子が解る。
「ミ…Mr.ブシドー…w」
「………なんだよ」
(………w)
声が低いし重い。
やっぱりふてくされてるw。
「ち、ちょっと公園寄ってもらいたいんだけど、いい?w」
「…………」
(………w)
顔は前を向いたまま目だけがこっちを見てきて、その目がまたすぐに前に戻って。
承諾したのかそうじゃないのか判断出来なくて、取りあえず歩いて、公園の前まで来た。
(………w)
ついてくるかしらと思いながら公園に入ると、Mr.ブシドーも曲がって。
ついてきた事に安心しながら、真っ直ぐ公園の真ん中にある休憩場へと向かった。
「あのね…//w。…ちょっと待ってね…?//w」
Mr.ブシドーとベンチに座って、鞄を探る。
「…はい///。これ…///」
「…………」
鞄から出したチョコをMr.ブシドーの前に出すと、Mr.ブシドーがちょっと呆然とした顔でその私の持ってるチョコを見てる。
「ほ…ほんとは買ってて…、でもいつ渡そうか迷ってたの…///w。私こんなのパパや家の人達以外に渡した事ないし…サンジさんとルフィさん達の前でMr.ブシドーにだけ本命チョコ渡すのもなんか恥ずかしかったし…///」
「…………」
言う私にMr.ブシドーは無言で。
その目だけが私に向いてきて、なんか顔を合わせるのが恥ずかしいから顔を俯けて、チラッと上目遣いでMr.ブシドーと目を合わせた。
そしたらMr.ブシドーの目がまた私の手に持つチョコの入ったラッピングした包みに移って。
その顔はなんか呆然としてるみたいにも見える。
「…それにMr.ブシドー、去年も貰ったチョコ、全部ルフィさんにあげてたし…。チョコ嫌いなのかとも思ったから、午前中渡せなくて…。でもサンジさんがMr.ブシドーチョコも大丈夫だって言ったから…」
「…………」
私の話は聞いてるみたいだから、上目遣いでMr.ブシドーを見ながら渡せなかった理由を言って。
「…受け取って…くれる…?///」
「……ん…w。…おう…w」
チョコを持つ手をちょっとだけ上げたら、Mr.ブシドーが返事して手を出してきた。
「…お返しは気にしないでね?//。受け取ってくれただけで充分だから…//」
好きな男子にチョコを渡していたクラスのみんなはホワイトデーのお返しを期待してるみたいだったけど、私はMr.ブシドーにチョコを渡せるだけで本当に充分だから。
「…そうはいくかよ…w。貰ったんなら返さねぇとよ…w」
「………。うん。そうよね」
でも私の手からチョコを取りながら返ってきた言葉は、律儀な義理堅いMr.ブシドーらしい言葉で。
お返しなんか期待してなかったけど、そう言われるとちょっと楽しみになってきて。
「Mr.ブシドー、大好き…」
「………おう…」
Mr.ブシドーの肩に凭れて、目を瞑って囁いたら、どことなく照れを含んだ声がぼそりと返ってきた。
(…ん…)
ガサガサと紙が動く音と、動くMr.ブシドーの腕に、瞑ってた目を開けたら、Mr.ブシドーがチョコの紙包みを開けていて。
「…もう食べるの?」
箱を開けたMr.ブシドーに言うと、赤くなった顔の目が私に向いた。
「…こういうのは貰ったらその場で食うのが礼儀だろうが」
「………くすっ。ふふふっ」
「…なんだよw」
そんな礼儀も決まりもないのに、相変わらずのちょとズレた武士道精神に可笑しさが湧いてくる。
「なんでもない。………。ね、おいしい?」
ボール状になってるチョコの一つを摘み上げて口に入れたMr.ブシドーに訊くと、
「おう…。…今日は朝練でちぃと疲れたからな…。丁度いい糖分補給だ」
「ふふっ」
やっぱりMr.ブシドーらしいセリフが返ってきて、また可笑しさが湧いて、二個三個と摘んでは口に入れて、ボリボリといい音を立てて噛み砕いてるその音を、凭れたまま目を瞑って聞く。
「……ほれ」
「ん…?」
Mr.ブシドーの声に目を開くと、目の前にMr.ブシドーの無骨な指に摘まれたチョコがあって。
「………あ〜…///」
ちょっと恥ずかしいけど、Mr.ブシドーの肩に頭を付けたまま口を開けたら、
「…自分で……w。………ほれ…w」
ちょっと文句っぽい事を言いかけたMr.ブシドーがその言葉を止めて、少し仕方なさげに私の口にチョコを投げ込んできた。
「…もうちょっとちゃんと食べさせて欲しいなぁ…w」
「…文句言うな…w」
チョコと違って甘さがいまいちなMr.ブシドーに軽く不満を言ったら、困惑気味に声が返ってきた。
「………おめぇの口に指当たったら自制が利かなくなるんだよ…w」
「え…//////」
低めの、どことなく困惑を含んだ口振りで、でもMr.ブシドーのその言葉に、瞬間で顔に熱が集まった。
「………w。もう帰るぞw。続きは家で食うw」
「ん……//////」
Mr.ブシドーが摘み上げていたチョコをまた箱に戻して。
蓋を閉めた箱を鞄に入れたMr.ブシドーが立ち上がって、私もそれについて立ち上がって。
鞄を肩に掛け持つ手の反対の、ぶらりと下がってるMr.ブシドーの手に手を繋げて。
さり気なく握り締めてくる大きな手を握り返しながら、二人で足を踏み出した。

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