─学園ラブ─

□風邪
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(……頭痛ぇ……)
体育館の壁際に座り込んで、でこを腕に伏せる。
今日は朝からなんか変だ。
頭が重ぇっつうか痛ぇっつうか…。
体もダリぃ。
弁当もあんまり食う気が無かったし、昼休みの日課の素振りをする気も起きねぇ。
こんな感覚は初めてだ。
(……ふ〜………は〜………)
息が熱ぃ。
肺が膨らまねぇような感覚。
しんどい。
「よう、ゾロ」
(……………)
耳にガラの悪ぃ声が聞こえたが、頭を上げる気も起きねぇ。
「おい、聞こえてんだろ」
「また寝てやがんのか?。よく寝る野郎だな」
「おい起きろ」
「…………」

(Mr.ブシドー、どこ行ったのかしら…⊃)
どこにも居ないMr.ブシドーを探して、ここはと体育館の扉を開けたら、また悪い雰囲気の人達に囲まれていた。
「Mr…!」
「おい起きろ」
「…ああ゛?…」
(………?⊃。Mr.ブシドー?)
不機嫌な凄みのある声。
いつも不良達に向けてるその凄みの声…だけど、でも今日のその声はいつもより重く、低い気がした。
両膝を立てて座る、その両膝の上に渡した腕に伏せて乗せていた顔を上げたMr.ブシドーの表情は、いつも以上に凄みが増してて。
「…俺は今虫の居所が悪ぃんだよ…。死にたくなけりゃ向こう行ってろ…!」
「ひ……w」
その気迫に不良達がたじろいだ。
「ぐ……っw。……ちっw」
(…………)
Mr.ブシドーの気迫に圧された不良達が逃げるみたいに離れて、Mr.ブシドーがまた腕に顔を伏せた。
その様子に違和感を感じて。
「Mr.ブシドーっ」
不良達が完全に出ていくのを見届けてから、走ってMr.ブシドーに近付いた。
「……ん…」
眠いのとは違うような気がして駆け寄った私に、顔を上げたMr.ブシドーはどこか気怠げで。
呼吸も深く短い。
「……?……。…なんだ……?」
まさかと思って、Mr.ブシドーのおでこに手を当てると、熱い。
出した声にも力がなくて。
今度は両の頬に手を当てると、やっぱり熱い。
熱がある。
「Mr.ブシドー、熱があるw⊃」
「…熱…?…」
「具合悪いの?w⊃。どこか苦しい?w⊃」
「……ああ……、なんか頭が痛ぇ……。あとなんかダリぃ……」
(やっぱり……)
風邪だ。
ルフィさんと同じ。
「あのね?、Mr.ブシドー。ルフィさんが風邪引いたの。だからMr.ブシドーに知らせに来たんだけど…」
「…ルフィが風邪……?。…あのバカが……?」
『バカでも風邪引くんだな…』と少しだるそうな顔で言いながらまた腕に顔を伏せたMr.ブシドーに、少し『Mr.ブシドーでも風邪引くのね…』と思った。
あれだけ体を鍛えて、"寒中水泳"って真冬に川で泳いでた事もあったけど平気だったMr.ブシドーが風邪を引いた事に少し意外な感心をした。
「Mr.ブシドー、保健室に行きましょ?。ルフィさんもサンジさんもくれは先生に診てもらってるから」
「サンジ……?」
「うん。サンジさんもなんだか熱っぽいって。大丈夫とは言ってたけど、熱を測ったら39度近くもあったから、先生がサンジさんも風邪だろうって」
「なんだよ……あいつら情けねぇ……」
(…………)
自分が風邪引いてる事に自覚がないみたいに、ルフィさんとサンジさんの事を言ってるMr.ブシドー。
でも確実にMr.ブシドーも風邪を引いてるのは間違いない。
「ね?。だからMr.ブシドーも具合悪いなら一緒に診てもらいましょ?」
「………。…俺は何でもねぇとは思うがな…。…ん…」
自分が風邪である事を疑いながらも立ち上がろうとしたMr.ブシドーを支えて、体にも熱を帯びてるMr.ブシドーを保健室に連れて行った。

「まさかこの学校の化け物三人が揃って風邪を引くとはねぇ…」
腕を組んで言った保健医のばぁさんの呆れを含んだ声に、ベッドに寝ながら"全くだ…"と内心で同意する。
ルフィ、サンジ、俺と、最も風邪から縁遠そうな野郎三人が風邪に負けた。
「さ、ビビ。こいつらは寝てりゃ大丈夫だから、お前さんは教室に戻りな。こいつらをノシた程の風邪だ。お前さんに移りゃあ重篤な状態になるかもしれないからね」
「…はい…。じゃあルフィさん、サンジさん、Mr.ブシドー、私行くから…。次の休み時間にまた様子見に来るから…」
「おう」
「悪ぃなビビちゃん……。心配かけちまって……」
「ううん。そんな事気にしないで?、サンジさん」
「…妙なヤツらに絡まれたらすぐにここに逃げ込んでこいよ…?…」
「うん…解ってる」
心配そうに俺達を見るビビにルフィが言い、ビビが頷きながら返事をした時、授業開始のチャイムが鳴った。
「じゃあまた来るから、三人ともちゃんと休んでてね…?」
保健室から出ていき際ビビがそう言い、躊躇いがちにドアを閉めた。
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